知財でがんばる元気な企業紹介 -愛媛県-




 多くの企業の方に知的財産権への関心を高めていただき、企業活動に活かして地域経済の担い手としてますます活躍していくための参考となるよう、 特許、意匠、商標等の知的財産権を活用して活躍する元気な企業や団体を紹介していきます。
 商品や、商品を構成する技術、デザイン、ネーミング、サービス等の知的財産の考え方、ユニークな取組、企業文化等も合わせて紹介していきますので、知財でがんばる元気な企業からよい刺激を受け、知的財産権を活用した新たな取組につながることを願っています。




研究開発は特許文献の調査から 株式会社ジンノ工業

 株式会社ジンノ工業は、ウォータースクリュー濾過フィルターの会社として、1984年に創業しました。現在は、濾過フィルター事業から派生したマイクロバブル発生装置を開発する事業が主力事業になりつつあります。




性能向上の開発から生まれた新規商品


 当社は、元々、固形不純物や粒子の大きな物質を濾過する、フィルター装置を製造していました。
 フィルターの濾過性能を向上させる開発の中で、濾過器を通過した微細なゴミを細かな気泡に付着して浮上させ取り除くための開発がマイクロバブル発生装置開発のスタートでした。
 当初の目的である濾過性能を上げるため、気泡をより小さく均一に発生させるためのマイクロバブルの発生装置の開発に取組み、現在ではマイクロバブルの用途が拡大する中、低コスト、省力化を視野に入れた技術にも取組んでいます。




マイクロバブルの活用範囲は広い


 マイクロバブル発生装置の商品化で驚いたのはその活用範囲の広さでした。
 マイクロバブルのターゲットは無限にあります。
 その活用範囲は、環境、農業、水産業、食品、美容等と範広い分野で、さまざまな応用商品が提案されています。工業系はいろいろな薬剤があり、特に難しいところです。
 例えば、水産業においては、当社マイクロバブルを利用して、溶存酸素量を上げることで、一般的な生育方法よりも1.5倍魚の成育を促進することができます。
 先日、東南アジアへ行き、現地の養殖業者の方にも非常に興味を持ってもらいました。 エビの養殖コストを下げるために水槽は小さく深くするのが一般的ですが、その条件で水槽全体の溶存酸素量を上げ、エビの成長をよくするためには、マイクロバブル発生器の使用が絶対的に有利だと考えています。



特許文献は最高の参考書


 新規の開発を行う時に注意しなければいけないことの一つに他社の特許に抵触しないということがあげられます。
 そのためにも開発初期の段階で特許調査は欠かせません。
 さらに特許調査には他社の特許を避けるということだけでなく、技術文献としての活用があります。
他社の特許文献を読むことで課題と解決手段を理解し、そこに至るまでの道も理解できれば、他社の弱点や複雑さ、メンテナンスの問題、またどのような状態のときにどういう機能が発揮できるかといったことを読取ることができます。
 時には特許文献に書いてあることを理解するために、その文献に書いてあるものを実際に試作することもあります。
 そういった特許文献調査の積み重ねが多ければ多いほど直面する課題を解決しやすくなり、新しい発想が出やすくなります。



特許調査から生まれる新しい技術


 多くの特許文献を読むことで、試行錯誤するのではなく、原因を追究し、解決するための理論を組立て、頭の中で技術イメージを作ってからイメージを形にしていくための実際の試作を始めます。
 このようにして、新しい用途や新しい課題に向かって技術開発を行って、そこで生まれた新しい技術を特許出願しています。

 その際当社では、特許権を取得する上で、応用技術よりもできるだけ基本部分に近いところで特許権を取得するようにしています。
 基本的な部分を押さえることができれば、応用技術に対しても、権利の幅を広げることができると考えるからです。
 また、商品化に合わせて、商品の商標権も現在2件取得しています。



知財が持っているブランド力


 特許や商標等を出願する際、当社では、愛媛県知財総合支援窓口に相談して先行技術調査や出願時に記載する特許請求の範囲等のポイントについてアドバイスをもらっています。
 これによってより的確な権利範囲を確保できていると考えています。
 また、模倣対策として、装置は分解できないように設計しており、修理等は自社でなければできないようになっていますが、今のところ模倣品は出ていません。

 知財にはブランド力があります。
 特許権の取得は企業価値の向上、技術評価の向上にも繋がりますので、特許権を取得することで他社のマネではない、独自の技術を持っているという裏づけになり、商品力の向上にも繋げることができます。
 今後も少数先鋭で独自技術を生み出し、更なる事業展開を考えていきたいと考えています。










※ お話は神野社長に伺いました。

写真提供:株式会社ジンノ工業 



記事掲載日:2017年7月28日 












製紙業から緑地化事業を生み出した 有限会社だるま製紙所

 有限会社だるま製紙所は手漉き和紙を製造する会社として1956年に創業しました。
 現在は色紙の芯にいれる厚紙を作っており、日本製の色紙では、だるま製紙所と近隣の企業との2社で国内ではほぼ100%のシェアを占めています。



異業種から見た発想で生まれた新規事業


 色紙用厚紙は今治タオルの生産時に出る余った糸を細かく裁断し、紙の繊維と混ぜて作っています。
  そのため、この厚紙を使った色紙は和紙を使ったものと同様に、墨で書いてもにじむことがありません。
 しかし近年、色紙に墨で書く人が少なくなってきたことに加えて、安い中国製の色紙が多く出回るようになり、日本製の色紙は減少傾向にあります。

 渡森社長は色紙の需要全体が落ち込む中、売上げを伸ばして事業を継続するためには新しい商品を展開しなければいけない、それも下請けではなく自社で販売できる商品が欲しいと常々考えていました。

 そんな中、工場内で紙の繊維と裁断した糸をミキサーで交ぜる際に糸くず等がはねて飛び散り周囲にくっついて困っているのを見て、これを吹付けに応用できないか、という発想が生まれました。

 もともと渡森社長は異業種から入社したため、製紙業界で常識とされていたことになぜ?と疑問を持つことが多かったと言います。

 そこで考えたのが、芝生の種を紙の繊維と一緒に混ぜて吹付けるという事でした。
 田んぼや道路ののり面、河川などでは雑草が茂るため除草作業をしていますが、田んぼの草刈りは農家の大きい負担になっています。
 芝生の吹付けは、除草作業をしているところに芝生を吹付けその芝生の厚みで他の草を押さえて雑草が生えないようにするものです。
 芝生化できると、夏の間何回も行わなければならない草刈りが、冬場の1回で良くなり喜ばれています。


開発から生まれる知財の取得

 
 ただ、発想からすぐに商品化ができるというものでもなく、吹付けの時、芝生の種と一緒に紙の繊維を吹付けるため従来の吹付け機械では詰まってしまう等、いろいろな問題がありました。

 社内でも懐疑的な意見もある中で、吹付けの技術や機械を自社で開発する等、一つずつ問題を解決してきました。
 そして4年近く開発を進めた結果、芝生化する技術や吹付け機械を完成させることができました。
 この開発時に芝生化の方法や吹付け機械等で特許を取得しています。


 芝生化という新規事業を始め、少しずつ売上げも伸び、特許出願から8年たった今では既存商品を圧倒する当社の主力事業にまで伸びてきました。

 さらにだるま製紙所では次の商品の開発をということで、もう一度紙製品に立ち戻り、新製品開発も行い、和紙で作ったタイルという今までなかった発想での新製品も開発しました。
 吸湿性が良く湿度調整のできる和紙でできた壁紙を、タイルのように貼るという発想から生まれたタイル状和紙壁紙です。



知財の取得による他社との差別化


 中小企業は大手のように大量に生産したり次々と新商品を出していくということが難しいため、特徴がないと生き残りが難しく、独自の技術というものが必要になります。

 特許というのは他社のまねをしたものではない独自の技術であるという証明にもなります。
 そのため、特許を取ることで他社にはない独自の技術を持っていることをアピールでき、差別化商品と同じように付加価値を上げるという効果があります。

 しかし、今回の吹付け事業は、特許技術だけでは成功しません。
 特許技術とノウハウが合わさって初めて芝生化が成功するものです。
 だるま方式の芝生化は、農家に対して準備工程から吹付け後の管理まで社員が出向いて、的確な指導をすることで芝生化を成功させているという特徴があります。

 事業という面から見れば、特許ありきではなく、特許技術を活用するための前後の指導により芝生化を成功させているのです。


独自商品の開発から生まれる知財

 

 中小企業にとって、既存の商品だけに頼っていたのでは事業継続が難しいため、当社では新規事業の開発を進めています。
 独自性のある自社製品を生み出すことができれば、他との競合も少なくなりますので値段も自社で設定でき、事業として安定性を確保できます。

 特許技術とは独自性のある事業を展開する際に生まれる副産物の様なものでありますが、新商品を生み出し販売するためには不可欠なもの、と考えています。



※ お話は渡森社長に伺いました。
渡森社長(左から5人目)

写真提供:有限会社だるま製紙所 



記事掲載日:2017年4月10日 











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