四国びと


社員が主役、会社はステージ!

武樋泰臣さん 株式会社ファースト・コラボレーション
片岡直子さん エイブルネットワーク高知東店
http://www.first-1.jp

 高知市に、社員・顧客・地域との繋がりを大切にしながら、景気に左右されない経営を目指している会社があります。社員一人ひとりが幸せになるため、社員が主役になることを理想として会社づくりに取り組まれている、株式会社ファースト・コラボレーションの代表取締役 武樋泰臣さんと同社が運営するエイブルネットワーク高知東店の店長 片岡直子さんにお話をうかがってきました。

―「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」(※)で奨励賞を受賞されました。受賞おめでとうございます。 武樋さん ―ありがとうございます。腕試しぐらいの気持ちで応募したんですが、社員一人ひとりを会社の主役にすることを始め、今までやってきたことが間違っていなかったのを確認できたので嬉しかったです。これまで信じてきた方向性に光を当ててくれて、ありがとうという気持ちでした。
※四国でいちばん大切にしたい会社大賞
平成23年度に四国地域イノベーション創出協議会が創設した、社員や顧客、地域から必要とされ、「大切にしたい会社」と思われている企業等を発掘・表彰する制度。企業経営の新たな取り組みを後押しし、企業活動の活気づくり、ひいては四国地域の経済活性化に貢献することを目的とする。平成24年11月30日まで、第2回大賞の応募を受け付けている。
http://www.smrj.go.jp/shikoku/branch/067151.html

 
―社員一人ひとりを会社の主役にしようとしたきっかけは何ですか? 武樋さん ―自分自身の体験なんですけど、頑張って仕事をしても、取引先から褒められたり感謝されたりするのは社長ばかりだったんです。社長が「彼のおかげなんです」ってちょっとは言ってくれたらいいのに。社長に光が当たるのは分かるんですけど、いつもいつもそれでは面白くないので、そうじゃない会社をつくれないのかなと思ったのがきっかけです。 ―これまでどんな体験があったんでしょうか? 武樋さん ―最初に就職したのが自衛隊でした。上からの命令で動くピラミッド組織です。若かったから、言われてやるのは当然だと思っていましたが、今から考えるとやらされ方が極端な部分がありました。次に、大阪でセールスマンになりました。ひたすら売り歩くのが仕事で、売れるまで会社に帰ってくるなと。ある年のクリスマスイブ、夜に住宅地でインターホンを鳴らして回っていると、どの家も楽しそうに家族でクリスマスパーティーをしている。それを見て、「俺は何をしているんや」と辛くなりました。 そんなことからスタートして、やりがいとか自分に合う仕事とかを考えながら10回ぐらい転職したんですが、結局、答えは自分の中にありました。そして、周りの環境も大事なんだと気づきました。そこで、やらされ感とかノルマとか嫌なものを無くそう、社員がイキイキ働けるステージをつくろうと思いました。
―会社の経営理念に「会社の発展と個人の幸せの一致を目指す」とありますね。 武樋さん ―会社のことと社員のことを突き詰めて考えると、ここに行き着きました。会社と社員はギブアンドテイクで、それぞれ権利と義務があるという関係でとらえたら、綱引きのようになって面白くない。社員が幸せになると、社員の人生の豊かさや人間力の成長が会社の豊かさや会社の成長につながっていって、会社の成長が社員のやりがいや未来への希望につながっていく。それが組織やチームの自然なあり方じゃないかと思うんです。 ―経営理念を浸透させるために、どんなことをしていますか? 武樋さん  毎年夏に合宿をして社員同士で話し合っています。今年は3年後の自分の夢を書いてもらいました。結婚する、楽しい子育てをする、よさこい祭りにチームを作って参加する。いろんな夢がありましたけど、そんな個人の夢を実現するために、日常として仕事があるよねと。そこで、会社での夢も書いてもらいました。部長になりたい、週休2日制にしたいなど。そして、個人の夢と会社での夢をリンクさせて、わくわくするような未来を描いてもらいました。
 そう簡単に達成できるものではありませんが、まずはやってみて良かったなと思っています。
―片岡さんは、社長から「社員が会社の主役」と聞いて、どう思いましたか? 片岡さん ―全然違和感もなく、いい表現だなと思いました。主役にしてもらっていると実感していたので。
 私が入社したころ、ファースト・コラボレーションは右肩上がりですごく勢いのあるときだったんです。新店舗を出そうとしていて、好奇心旺盛だった私に仕事を任せてくれました。社長も経理担当者も巻き込んで大変だったんですが、そのまま店長もやってみるかって話になりました。「やる、やる」と二つ返事で引き受けました。そして、新店舗で働く社員も採用してみるかって言われたときも「やる、やる」と引き受けて面接をしました。ここまで勢いだけでやってきました(笑)

―普段はどんなふうに仕事をしているんですか? 片岡さん ―まず、お客様とお会いして3分以内に、早ければ30秒以内に笑顔を見せてもらうように心がけています。そうしないと落ち着かないので。
 私たちにとってお部屋探しは年に何百件とあって、それだけのお客様にお会いします。でも、お客様にとってお部屋探しは、そんなにしないですよね。だから、お部屋探しや会話を通じて、お客様に楽しんでもらい、またここに来たいと思ってもらうところが私にとってのゴールです。
 お部屋探しは、進学とか就職とか、わりと楽しいことにつながっているんですけど、中にはそうじゃない人もいます。仕事がない、お金がない、保証人がいないとか。こういう人は大体心が折れています。他所で断られていますから。こういうお客様こそ力が入ります。一生懸命生きている方であれば、その人の部屋を見つけてあげたい。部屋が見つかったときにはやりがいを感じます。
―女性社員が多いですね。採用を多くしているんですか? 武樋さん ―応募の8割が女性なんです。部屋の要望を聞くとかちょっとした気配りとか、女性の資質に向いているとは思うんですが、男女のバランスはあまり意識していません。片岡は男女比は同じくらいがいいと言っています。 ―男性社員と女性社員とでは、何か違いがありますか? 武樋さん ―社内のマネジメントについて言えば、男性と女性のアプローチは多少違いますね。数字から入るか、感情から入るか。結果を求めるか、プロセスを求めるか。
 でも、どちらにしても、店がいいムードだったら業績は上がるんですよ。業績が下がるからムードが悪くなるんじゃなくて、ムードが悪くなるから業績が下がるんです。だから、いかに雰囲気を良くするかが大事。そのあたりは女性のほうが敏感ですね。
―コミュニケーションとチームワークを大事にされているんですね。 武樋さん ―コミュニケーションとチームワークを大事にする企業風土が生まれた理由は、経営理念を作ったことです。それを大事にしようと決めたんです。会社を設立した頃は、社員一人ひとりは元気で明るかったんですけど、まとまっているという感じがありませんでした。それが経営理念を作ったことで、みんなの方向と会社の方向がバシッと一本化できました。
 だから何かにつけてうちの会社は、コミュニケーションを大事にするんだ、チームワークは何よりも大事なんだ、売り上げよりも大事なんだということを言い続けています。

―これからの会社づくりについて考えていることを教えて下さい。 武樋さん ―今までは不動産賃貸仲介業務だけやってきたんですが、お客様からのニーズが増えてきたので、別会社を設立して売買業務も始めました。社員の年齢の重ね方に合わせて、みんなのステージをどう広げていくのか、会社のステージをどう広げていくのかを考えています。 片岡さん ―ファースト・コラボレーションにとって、変わっていくものと変わってはいけないものがあるので、それをいかに後輩へ受け継いでいくのかを考えています。 ―高知に対して、どのような想いを持っていますか。 武樋さん ―「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」で表彰されてから、物事を四国という枠組みで考えるように意識が変わってきました。観光一つとっても、高知へ来たいと言うんじゃなくて、四国へ来たいと思ってほしい。高知だけでも楽しいけど、日程を1日追加して、徳島でラーメンを食べる、高松でうどんを食べる、松山で道後温泉に入るなど、もっと四国を回ってほしいと思います。
 厳しい経済状況が続いていますけど、わりと高知はへこたれていない人が多いと思います。しかし、経営者が元気でも社員が元気じゃないところはある。そんなところには、元気な会社づくり、社員が輝くとはどういうことかに興味を持ってもらいたい。それは一つ一つの中小企業が元気になる、地域が元気になるということにもつながっていきます。


 四国には魅力があると思います。食べ物は美味しいし、山も川も海もきれい。そんな地域にこんな企業があるんだ、こんな働き方があるんだと目を向けてほしいです。目を向けてもらうと社員にとって誇りになります。採用につながって、県外に出て行く人を食い止めることにもなります。
 会社づくりも地域づくりも一緒だと思います。チームワークを良くしたらやっていける、っていうことを各業界やみんなが目指せば、絶対良くなります。そういう高知、そういう業界、そういう四国になれば日本全体が良くなると思います。


掲載日:2012年10月31日 取材者:O・Y、A・T
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