「平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業」の採択結果について
経済産業省では、我が国製造業の国際競争力の強化と新たな事業の創出を目指し、中小企業のものづくり基盤技術(鋳・鍛造、切削加工、金型等)の高度化に資する研究開発から試作段階までの取り組みを促進することを目的に、「戦略的基盤技術高度化支援事業」を実施しています。
今年度は、3月10日(木)から5月10日(火)まで公募を行ったところ、四国地域で15件(全国では652件)の提案がありました。
提案があった案件について審査を行った結果、四国地域で5件(全国120件)の事業を採択することになりました。
| 計画名 【主たる基盤技術】 |
研究開発の要約 | 事業管理者 法認定事業者 |
| 加工最適化機能を有するCFRP(CFRTP(※2))高精度加工システムの開発 【切削加工】 |
CFRP(※1)は、高強度繊維による異方性、樹脂の粘着性等から良好な切削面を得ることが困難な難削材である。その加工条件は勘と経験で決められており、仕上げ加工等を要し低能率である。本研究開発では、CFRPの切削特性をデータベース化すると共に、テスト切削により積層構造を予め評価し、組織に合った加工条件を選定する専用CAM(※3)、切りくず処理、温度制御技術を開発することで、加工最適化した高精度加工システムを開発する。 | 公益財団法人とくしま産業振興機構 (徳島県) 株式会社アスカ (徳島県) |
| 発酵乳製品副産物ホエーの機能成分を活用した高齢者用人工唾液の開発 【発酵】 |
高齢になると唾液分泌が低下して口腔内機能の恒常化が保てなくなり、嚥下障害などが生じやすくなるが、現状の人工唾液は医薬品であり、処方箋がないと入手できない。我々は、発酵乳製品の副産物であるホエー(※4)が、唾液に必要な生理活性のある成分を含んでいることを既に解明しており、当該研究にて、この成分の活性を保持した人工唾液の製造技術を確立し、食品・飲料として補給できる新規人工唾液の商品化に向けた試作品を開発する。 | 財団法人四国産業・技術振興センター (香川県) 株式会社アプロサイエンス (徳島県) |
| 画像処理を用いた薬剤分包機用計測モジュールおよびカートリッジの開発 【組込みソフトウェア】 |
調剤機器設備産業では、患者の満足度追求や高齢化による患者数増大を背景に、薬剤を正確に分包する装置の導入が進んでいるが、より安全安心で複雑な要求に応える完全自動分包機が求められている。大型円盤を用いた散剤取分け機構に代わり、薬剤カートリッジからの直接分包機構を実現するため新たに画像処理技術を用いた粒体計測手法を利用し、簡易な操作で種々の散剤が分包できる分包機(開発ソフトウェア組込み)を開発する。 | 財団法人えひめ産業振興財団 (愛媛県) システムエルエスアイ株式会社 (愛媛県) |
| 織染技術を高度化した綿繊維からの高効率バイオエタノール生産技術の開発 【織染加工】 |
焼却処分されている繊維くずの有効利用と環境配慮型のタオルの販売というタオル製造事業者のニーズがあるため、織染技術の高度化により、高効率なバイオエタノール(※5)製造技術を開発する。具体的には、綿繊維の結晶化度を低減して糖化率(※6)を向上させる前処理技術と酵素を繰り返し再使用する技術を開発し、コストを大幅削減する。これにより、多くの繊維製品製造企業の賛同が得られるとともに、国内外の繊維産業への波及も期待できる。 | 財団法人四国産業・技術振興センター (香川県) 日本環境設計株式会社 繊維リサイクル今治工場附属研究所 (愛媛県) 東洋電化工業株式会社 (高知県) 大和染工株式会社 (愛媛県) |
| 患者負担低減を達成する『高強度』かつ『フッ素徐放性』を持つ歯科充填用コンポジットレジンの開発 【プラスチック成形加工】 |
近年、ニーズが高い患者負担の小さいMI治療(※7)では複合プラスチック材料のコンポジットレジン(※8)が使用される。そのコンポジットレジンは破折しやすく、天然歯との界面で虫歯になりやすいという問題が指摘されており、医療現場から解決を強く求められている。そのため、3種の異質なポリマー(※9)をフッ素含有フィラーにコーティングする独自技術により複合化し、高強度と歯を強化するフッ化物イオンの持続的放出を達成する材料を開発する。 | 財団法人高知県産業振興センター (高知県) 山本貴金属地金株式会社高知第二山北工場 (高知県) |
※1 CFRP:炭素繊維強化プラスチック。炭素繊維を配合することで強度を増したプラスチック。
※2 CFRTP:炭素繊維強化熱可塑性プラスチック。加熱により軟化するプラスチックを用いたCFRP。
※3 CAM:コンピュータ支援製造。コンピュータ上で作成された設計から加工装置の動作を決定する。
※4 ホエー:乳清。牛乳からチーズやヨーグルトを製造した際に副産物として得られる溶液。
※5 バイオエタノール:植物資源を発酵させて製造するエタノール。植物が成長のために二酸化炭素を取り込むことから、再生可能エネルギの一つとされている。
※6 糖化率:ここでは、原料である綿繊維からバイオエタノールの前段階となる糖に分解する割合を言う。
※7 MI治療:"Minimal Intervention"最小限の侵襲。歯科治療で可能な限り生体を保存する方針。
※8 コンポジットレジン:ガラスやセラミックの粒子を配合した、歯科治療用の充填剤。
※9 ポリマー:単一または複数の種類の小さな分子が繰り返し結合することで、鎖状や網状になった高分子化合物。