四国経済産業局


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高機能素材関連産業の創出施策について

※高機能素材:セルロースナノファイバー(CNF)、炭素繊維、高機能紙など

(注)当該ページの記載に当たっては、「四国の機能紙産業の発展経緯と将来」(日本政策投資銀行 四国支店/2018年8月)を参考・引用させていただいています。

機能紙、不織布は、「1950年代に製紙業と繊維業の業際で登場したベンチャー分野が時代のニーズに即する形で成長した産業分野」であり、「四国は世界でも先駆けて機能紙・湿式不織布の生産が開始されたエリア」だといわれています。<注1,注2>

生産が開始された当時、国においても大阪工業試験所四国支所(現:産業技術総合研究所四国センター)が各県の製紙試験場や企業と化繊紙の研究を行っていましたが、これらの製造は技術的に難易度が高く、全国の製紙メーカーから製造技術普及のための講演会の依頼が殺到したため、四国通商産業局(現:四国経済産業局)が中心となり1962年に「第1回化学繊維紙技術講演会」を開催。この講演会が発端となり、同年、製紙関係企業の経営者・技術者、公設試験所の研究者、国立研究機関及び大学の研究者を中心に「化繊紙研究会」(現:機能紙研究会<注3>)が創立されます。

機能紙研究会は、各社の多様な機能紙の標準化、実用機能に基づく分類、データベースの作成などを実施。これにより、自動車メーカーなどエンドユーザーにとって使いやすいものとしており、機能紙の社会実装・普及、機能紙産業の発展に大きく貢献してきました。

このように機能紙産業が集積している四国地域ですが、更に近年では、機能紙に関連する新素材分野として、炭素繊維を供給する大手素材メーカーが立地する愛媛県を中心に「炭素繊維」を活用した産業創出への取り組みを、また、「四国CNFプラットフォーム」(設立:2016年5月)において、全国の大学で初めて紙産業に特化した教育研究センターである「愛媛大学 紙産業イノベーションセンター<注4>」のセンター長、企業OB及び各県の公設研究所の職員・OBによる支援チーム「CNFコーディネーター会議」が組成されるなど「セルロースナノファイバー(CNF)」に関する産業創出への取り組みを行っています。

<注1>初期の企業活動例
1956年
ダイニック(株)〔京都〕が、わが国で最初に不織布の生産を開始
1956年
金星製紙(株)〔高知〕が、わが国で最初に国産設備を用いた乾式不織布の生産を開始
1958年
三木特種製紙(株)〔愛媛〕が、世界で初めて合成繊維紙「ミキロン(レーヨン紙)」を開発。
(破れない障子用の紙としてヒット)
1958年
廣瀨製紙(株)〔高知〕が、1939年に日本で開発された化学合成繊維「ビニロン」を用いた湿式不織布の製造を開始。
<注2>四国の紙産業の特徴(静岡県との比較)
静岡県の紙産業は製造設備として大量生産型の設備を導入する傾向があるのに対し、四国地域においては大都市市場圏から遠隔地にありインフラ整備も遅く条件不利地域である等ハンディがあったため、早くから紙加工や特殊紙・機能紙製造など小ロットで付加価値の高い「川下」分野にシフトしていた。
<注3>機能紙研究会

設立当初は、大阪工業試験所四国支所、愛媛県製紙試験場(現:愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター)及び高知県製紙試験場(現:高知県立紙産業技術センター)が主催。

「四国の機能紙産業の発展経緯と将来」(日本政策投資銀行四国支店/2018年8月)では、「地方の中堅・中小企業の経営者・技術者を中心とする研究会が全国的学術団体まで発展した希有な事例」と紹介されている。

<注4>愛媛大学 紙産業イノベーションセンター〔経緯〕
2005年から
〔教育〕
愛媛県紙パルプ工業会が「製造中核人材育成事業」を実施。
(2005から2006年度、経産省委託事業)
愛媛大学が「産学人材育成パートナーシップ事業」を実施。
〔テーマ〕大学院紙修士コースの創設、カリキュラムの実証
(2008から2010年度、経産省委託事業)
2010年
【修士課程 紙産業特別コース】開設
愛媛大学大学院農学研究科修士課程に「紙産業特別コース」を開設。
場所:愛媛県 紙産業技術センター内
2014年
【紙産業イノベーションセンター】設立
研究機能を強化。
場所:愛媛県 紙産業技術センター内
2016年
【学部 紙産業コース】新設
愛媛大学が「社会共創学部」を設置。同学部に「紙産業コース」を新設。
2018年
【センター棟】完成
敷地:愛媛県が無償貸与
工費:企業(46社)及び四国中央市も支援

担当課

地域経済部 地域経済課 産業技術室