1957年(昭和32年)、富士ダンボール工業株式会社として設立、主に地場産業である手袋の梱包用段ボールの製造を手がけ、地元に密着し成長してきた段ボールケースメーカーである。2017年(平成29年)に現社名に変更、アッと驚く形状やデザイン、用途に応じて企画から製造、物流に至るまでワンストップで顧客のニーズに柔軟に対応した段ボール製品を提供している。
段ボールは社会の物流を支え、地球環境に優しい、無くてはならない資材であるが、大手企業等が乱立し、競争が激しい付加価値の低い産業で、中小企業にとっては非常に難しい市場である。国内の段ボール需要の半分近くが関東地区にあり、四国地区においては約3.3パーセント程度の需要である。元々は手袋産業を主体に取引を行っていたが、その後、繊維産業、木工産業、現在は電子機器に薬品と変遷しており、主力製品も20年で入れ替わっている。「従来の延長上に段ボールメーカーの未来はない。」と本田社長は考える。
変革のきっかけは本田社長が闘病中に考えた、田舎の小さなメーカーの生き残り戦略「おもしろい」と「スピード」。「おもしろいで未来を創れ!」と、「スピードで他社に差をつけろ!」をスローガンに社内での変革を行うようになった。包装設計部門について、何か新たな市場開拓ができないかと考え、B to BビジネスからB to Cビジネスへの変換を目指し、2010年(平成22年)にhacomo株式会社として分社化した。同社は工作キットや遊園地を段ボールで製作するといった従来の段ボールの活用方法とは違う切り口での商品開発を実施し、メディアでも頻繁に取り上げられている。 一方、コロナ禍においては、飛沫感染対策用パーテーション、どこでも閉鎖空間が作れる「どこでも部屋」、テレワークを支援する「どこでもデスク」など、新たな製品の開発にもスピードを生かしている。
これらの変革を支えるために、経済産業省のものづくり補助金やIT導入補助金を活用し、新たな設備投資や社内のIT化(社内ペーパレス化、営業員向け三次元CADの導入等)を図っている。また、経営力向上計画の認定により、生産設備の導入・更新による税制優遇措置の活用等、新事業を成長軌道にのせている。
本田社長のチャレンジは、実を結びつつある。令和2年度に香川県が選定する「かがわ成長する企業大賞(ものづくり部門)」を受賞、子会社のhacomo株式会社は前年度に受賞しており、2年続けての快挙となった。
さらに、従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」や南海トラフ地震を想定した香川県及び東かがわ市との災害時協定の締結等の地域貢献も積極的に行っている。
「チャレンジして失敗することを恐れず、チャレンジしないことを恐れよ。失敗したら元に戻せばいい。」これが本田社長の口癖。これまで意外な物をカタチにしてきたにも関わらず、さらに2歩先の未来を進むという株式会社FUJIDANは、前例のないもの、誰もが見たことのないもの、自分の思いもよらないもの、そんな想像を超えた「おもしろい」製品の開発を続けていく。
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※掲載の内容は、令和3年2月19日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
認定支援機関や地方産業競争力協議会等と連携し、中小企業・小規模事業者が実施する革新的なものづくり・サービスの試作品の開発や設備投資を支援している。
同社は、平成29年、令和元年、令和2年に採択された。