1952年(昭和27年)に創業、2022年(令和4年)8月に創業70年目を迎える。創業当時は地元の高松市紙町で生産されていた家庭紙、今でいうティッシュペーパーの包装用の紙箱の印刷からスタートした。以降、商業印刷を基盤としつつも、マーケティングや情報技術等、蓄積された様々なノウハウをもとに、印刷物からPOP・ノベルティ、さらにWeb・デジタルコンテンツなどの企画・デザインから製造までワンストップで提供している。
2018年度(平成30年度)には、地域経済の中心的な担い手として、経済産業省から地域未来投資牽引企業に選定された。
従来、印刷業はデザイン、印刷、製本等の各工程での分業が主流であり、それぞれの強み応じた多数の事業者で成り立っていたが、印刷市場の規模は1997年(平成9年)をピークとして、今は当時の約半分ほどに縮小している。デジタル化による出版物の減少や折り込み広告の減少もあるが、それ以上に分業から単一工場化、総合印刷会社による業務の内製化によるコストダウンも大きいといわれている。
同社は強みのある企業を吸収合併することで総合印刷業として大きく成長してきた。M&Aにより首都圏から九州北部を網羅する27の営業拠点と10の生産拠点を構えたことにより消費地・需要地に対して全国展開が可能となっただけでなく、グループ全体で300人規模のデザイナーを有し、あらゆるジャンルの企画・デザインを作り上げる強みがある。また、業務を自社内製で集約したことで低コスト化を実現した。このほか、東日本大震災では被災した拠点に代えて関西地域の拠点で事業を継続する等、災害にも強い生産体制も構築した。
今、同社のバーチャルリアリティ(VR)技術を駆使した製品「AuggleS2(オーグル エス ツー)」が注目されている。同製品を装着したスマートフォンで360度カメラを使って作成したVR動画を視聴すると、臨場感あふれる現地疑似体験ができる製品で、その手軽さと利便性から、観光地のPR、大学のオープンキャンパス、企業の工場見学等で活用されているが、コロナ禍においてさらに需要が高まっている。
また、コロナ禍では、軽くて割れにくく、アルコール拭きが可能な「飛沫防止パーテーション」、好きなデザインを印刷できる「オリジナルプリントエアマスク」、学校、施設、店舗等で活用する感染予防対策ステッカーの専門のネットショップ「SUPPLUS BASE店」を立ち上げた。事業化にあたっては同社のシルクスクリーン印刷、店頭販促POPの販売やウェブ販促支援システム等のノウハウが活用されている。
印刷の枠にとらわれず、多様な製品・サービスを提供している小松印刷ではあるが、あくまでも全国屈指のオフセット輪転機、オフセット枚葉機を備えた印刷会社の特性を活かし、本業を継続的に維持しながら、強化していくことを目標としている。「企業、若しくはその地域毎に、変化を見逃さず、変化から生まれるチャンスをしっかり掴み、健全な経営や誠意を大切にやっていきたい」と小松社長は話す。
一方、インターネットの普及、IT技術の進歩は文字文化の違いを解消しようとしている。言語の変換機能が高度化することにより、これまで難しかった海外での事業展開、他国語でもデザインを興すことが出来る時代が来ると予見し、その先の未来にチャレンジ意欲を高めている。
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※掲載の内容は、令和3年3月19日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
経済産業省では、地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手、および担い手候補である企業を「地域未来牽引企業」として選定している。
選定されると企業のブランド価値向上や経済産業省補助金等の審査時における地域未来牽引企業優遇措置や課題解決のための相談や情報を受けることができる。
地域未来牽引企業には、地域での役割と、地域経済を牽引する目標を設定し、その実現に向け事業活動に取り組むことが求められる。また、経済産業省は、その取組を重点的に支援し、地域経済の活性化を実現を目指す。