株式会社ハートは、世界でも数少ない国際オーガニック認証を取得た自社製造工場を持つ寝具メーカー。1988年の創業以来、化学繊維・合成化学薬品等によるアレルギーなどの疾患を持つ消費者に安全で安心な暮らしを提供できるよう、オーガニックテキスタイルの開発・販売に取り組んでいる。
山岡社長の幼少期、就寝時にアレルギーによる喘息の発作で一時的に生命の危機に瀕するという出来事があった。この出来事をきっかけに、先代社長が、アレルギーのために夜も眠れないほど苦しんでいる人や体の弱い人たちが安心して眠ることのできる、有害な化学物質を使用しない安全なふとん作りを始めた。
「安全・安心」なものを届けたいという思いと、自然と体に優しく健康で快適な製品を求める消費者のニーズにマッチし、日本全国の生活協同組合や百貨店等を中心に販路を拡大し、成長してきた。
さらに、「私たちが求めるオーガニック寝具というのを作りたい」と自社工場を拡充し、原料から製品に至るすべての工程において、オーガニックでない原料や有害な薬剤による移染・汚染・混入を徹底排除し、そのトレーサビリティを確保することにより、安全安心なものづくりの体制を確立。2005年には寝具メーカーでは、日本で初めて国際オーガニック繊維基準である「GOTS」「OCS」の認証を取得し、更新維持している。
徹底した管理体制の構築が、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰」において中小企業製造事業者・輸入事業者部門で銀賞受賞や「消費者志向優良企業」として表彰された。
認証の取得にあたっては、働く人の幸せの確保、労働環境も重視されるが、同社は創業当時から「家庭と自分の生活を支えていくために仕事でお金を稼ぐ」という働き方をモットーとしている。女性が圧倒的に多い中、子どもの送り迎えや運動会、授業参観といった家庭行事を優先した仕事のスケジューリングを行い、仕事を進める体制を備え、従業員やその家族を大切にしている。
有給休暇消化率100パーセント、「ノー残業」の実現などワークライフバランスの取り組みが評価され、2013年には、「ダイバーシティ経営企業100選」に選出された。
より多くのニーズに応えるため、オリジナルブランドとして生まれたのが「SaFo(サフォ)」である。自然であること、オーガニックであることを、「作法(Safo)である」として、礼儀を大切にし、気持ちよく生活する作法やルールを重んじることから名付けられた。オーガニック製品から連想される気持ちいい風合いや肌触り、安全・安心の高品質であることと日本製であることが商品の強みとなり、海外でも高評価である。
また、コロナ禍においては、「質の良い寝具で免疫力を高め、お家時間を快適に過ごしたい」という需要も高い。
さらに、脱プラスチックとして、布団製造時に出る端切れを使った布パッケージや再生可能な紙パッケージを採用するなど、サスティナブルなポリシーがうかがえる。
欧米を中心に世界的にオーガニック市場は拡大している中、山岡社長はさらなる海外展開を計画しているが、さらなる販路拡大には、国際認証と「Made in Japan」のクオリティに加え、自社のブランディングが重要と話す。
また、寝具にとどまらず、需要が拡大しているウェルネス健康市場やキャンプ用品などの製品開発に活用することも視野に入れ、国内外の展示会にも積極的に参加していく予定である。
「健康寿命が延びている今だからこそ、天然素材の良さで心身ともに健康である生活を提供したい。」と山岡社長。認証が裏付ける確実な安全性を備えるオーガニック製品と、従業員や地球環境にも配慮する同社の「まごころ(ハート)」や姿勢は、これからの持続可能な開発目標の目指す未来に欠かせないものであり、より一層、世界中に多くの満足感を届け続ける。
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※掲載の内容は、令和3年6月23日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)は、2007年(平成19年)に始まった制度。
本表彰は、経済産業大臣賞をはじめとする各賞により、製品安全に積極的に取り組んでいる製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体をそれぞれ企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で、「製品安全対策優良企業」として表彰。各企業が扱う製品自体の安全性を評価するのではなく、企業・団体全体の製品安全活動に関する取組について評価している。