東光株式会社は1946年に漁具製作所として創業、その後、ナイロン繊維の取り扱いや縫製技術を活用した靴下、女性用ストッキング、健康肌着の製造販売を展開した。日本初のシームレス・ストッキングの実現など業界のパイオニアとして、女性の社会進出やファンションのトレンドの潮流に乗り成長してきた。
現在の主力商品は、リンパ浮腫、静脈瘤、静脈血栓症などの予防・治療用に用いられる「医療用弾性ストッキング」で難易度の高い着圧設計や高い技術力で医療現場において患者の命や健康を支えている。
1968年、日本で業界初のシームレス・パンティストッキングを開発、その生産、販売を行っていたが、その後時を重ねるにつれて、過当競争や将来の需要減少を予測し、新しい事業を模索していた。
1980年ドイツ製の多段階着圧編機を導入し、業界に先駆けてハードサポートストッキングを開発、生産、販売を開始した。そんな中でヨーロッパの医療現場でハードサポートタイプのストッキングがリンパ浮腫治療に用いられることを知り、医療用途の弾性ストッキング、特にリンパ浮腫用弾性ストッキングの研究を始めた。
一方、当時の日本では、リンパ浮腫専門医が少なく、充分な医療が提供できていなかった。手術後に使用するリンパ浮腫用弾性ストッキングも、海外製品が主流で保険適用もされず、患者達は日本人のサイズに合わないために効果が期待できない高額なストッキングを使用するしかなかった。
「日本人の体型にあったストッキングが欲しい」患者達の切実な訴えに応えるため、7年の開発期間を経て、2000年にリンパ浮腫用弾性ストッキングを商品化した。サイズ、短納期、低価格など、医療現場と患者のニーズに応えるストッキングとなった。その後も、医療従事者と連携し、患者の「クオリティ オブ ライフ」の向上を目指した改良が続けられている。
また、納期が課題となるオーダーメイド品については、採寸のデジタル化による高品質・短納期を図る新受発注システムの開発が事業再構築補助金の採択を受けて進められている。
非医療分野でも、むくみの予防や疲れの軽減、痩身目的等、用途に応じた多様な弾性ストッキングを商品化している。
介護福祉分野では、義肢装具メーカーと連携し、機能性・ファッション性などを重視した義肢用ストッキング等、利用者・介助者のニーズを叶える商品開発を積極的に行っている。
また、ファッション性があり日常的に使用できるスポーツ用ストッキング等、商品開発は多岐に渡っており、生活の様々な場面で利用されている。
病気だけでなく健康寿命の大切さが注目される昨今、体だけでなく心のケアも含めて、人々に寄り添う医療用具が求められている。
本社に設置された「プレゼンテーションルーム」では、世界中から集めたリンパ浮腫に関わる情報をもとに、患者、セラピスト、ドクター等医療従事者と意見を交わしながら、商品開発に取り組んでいる。また、サイズ展開が日本人に近いアジア圏の患者にとっても心強いツールとなり得ると考え、海外展開を視野に入れている。
「浮腫み、痺れの痛みや苦しさから解放してあげたい。もう患者さんの涙は見たくない。」という佐藤社長の思いは今も変わらず、たゆまぬ努力・革新を続けている。
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※掲載の内容は、令和3年11月19日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
中小企業庁による補助事業で、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としている。
そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援している。