昨今のキャンプブームに先駆け、造船業界からアウトドア業界に参入し、個性的なアウトドアギアを次々と提案して好評を得ているのが株式会社興栄企画である。
「自分で火をつけたことがない子どもたちに火をおこすことを伝えていきたい。自然の原理にみんなでもう一度触れてほしい。」という森山社長の想いのもと、持ち前の鉄加工技術を武器に生み出されるアウトドアギアが今業界やユーザーから熱い注目を浴びている。
株式会社興栄企画は、船舶の製造修理業として2008年に香川県丸亀市で起業。大手造船所の一次下請けとして、世界最大級のコンテナ船の製造や港に出向いての修繕など経験豊富な技術者を抱え、造船業界を支えている。また、船舶業界で培った溶接・切断・曲げといった鉄を加工する技術を活かした精密板金加工をはじめとした金属加工、電装・艤装工事の技術を活かしたプラント工事、建設工事を軸に事業を展開している。
そのような事業展開の中で異色を放つのがアウトドア事業である。
アウトドア事業への参入は、焚き火が大好きな森山社長が趣味で焚き火道具を夜な夜な開発していたところから始まった。最初に自作したのはロケットストーブだった。キャンプ場や庭にも簡単に持ち運べて、安全で気軽に焚き火がしたい、きれいな火を眺めたいからと前面をガラス扉にしたいなどのアイデアが次々と思い浮かび、ついには「自分でやる」と、ものづくりの魂に火がつき、気がついたら2年がたっていたという。
こうして愛好家ならではの目線と鉄加工のプロの技が組み合わさった、森山社長の趣味の枠を超えた「TAKI BE CAN(タキビーキャン)」が誕生した。
試作機を見たキャンパーから、「どこで売っているのか?」「分けてほしい」と反響が大きかったことから、アウトドアを楽しむ方々に鉄で作った道具をアウトドアフィールドで使って活躍してもらいたいという想いを込めて、「THE IRON FIELD GEAR(ジ アイアン フィールド ギア)」というブランドを2018年に立ち上げ、販売を開始した。
同社のアウトドアギアは、何度火をいれても形が狂わない。鉄を知り尽くしたプロだからこそ、その品質には特にこだわりを持っている。
厚さ3.2ミリメートルの鉄板を切り出し2ステップで焚き火台になる「TAKI BE ITA(タキビイタ)」、厚さ2.8ミリメートルのホーロー仕上げの鉄板グリルや丸洗い出来るステンレス性ボディを採用したコンロ「SUMI BI BOX(スミビボックス)」など、鉄とアウトドアへのこだわりが込められた製品はすでに18アイテムにもなった。
また、これらのラインナップは、雑誌やテレビ番組等のメディアでも多数取り上げられているほか、クラウドファンディングで商品を開発した際には、目標金額をすぐに達成するとともに、購入金額は部門別1位を長期に亘り維持するなど、業界だけでなくユーザーからも厚い支持を得ている。
世の中にないアウトドアギアを自分好みに開発して作っていった結果、世の中に驚きを与え、ファンやサポーターが増えたのではと森山社長は語る。
こうした実績が認められ、経済産業省関連のJ-Netのサイトの「コロナ禍で頑張る中小企業2021」に掲載された。
次の一手として構想しているのは、庭でキャンプする庭キャンやベランダでキャンプするベランピングという、ニュースタイルのキャンプをターゲットにしたサブスクリプションである。
瀬戸内の食材と四国の山の薪をお届けして、自宅にいながら四国を満喫できるキャンプを楽しんでもらおうというものだ。「次はアウトドアの機会を提供したい。瀬戸内の豊かな自然を生かした快適に楽しく過ごせるキャンプ場も作りたい。島でキャンプなんか他ではなかなかできないですよね。」と森山社長は新しい形を思い描いている。
また、自社で製作できない部分は地域の異業種企業とタッグを組み、融合しながら、アウトドアを通して瀬戸内のすばらしさを発信し、ゆくゆくは、多くの人に瀬戸内に足を運んでいただき自然に触れてもらうことを願っている。
「瀬戸内に、いつかみんなで遊びに来てください!待っています!」
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※掲載の内容は、令和4年1月21日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
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