株式会社本田洋行は、1947年に愛媛県四国中央市で薬局として創業、1960年代から輸入パルプや産業用資材、工業薬品、不織布といった原料や素材の取り扱いを開始、全国屈指のパルプ・紙・紙加工品製造業の集積を有する四国の紙どころの成長を素材供給の面で支えてきた。
また、プラスチック成型や不織布加工、ラミネート加工等の中間素材の製造、OEMから自社商品の開発・製造も手がけている。
2017年には地域経済の中心的な担い手として経済産業省から地域未来牽引企業に選定されている。
「『ウェット手袋なでなで』『ドライシャンプー』『フィンガーウェッティ』『マスク長持ちシート』弊社の商品の一部です。凄くニッチなものですが、使っていただいた方に喜んでいただける、絶大なご支持をいただけるような商品を皆様にお届けしたいんです。」と商品開発の責任者 本田事業部長が開発への思いを語る。
2012年頃、経営環境が苦しい中、製造部門をテコ入れするため消費者向けの自社商品の開発に踏み切った。しかし、後発メーカーが全国の流通網に乗せるだけの新商品を開発するのは難しい。そこで世の中にないもの、ニッチでも需要が見込めるものとして目をつけたのが、得意とする薬品や不織布を材料とする“水を使わない”家庭用ケア用品だった。本田部長の商品開発は実体験の「あったらいいな」の思いから次々と拡張し、快進撃が始まった。
従来のペットケア商品はシート状が主流で、犬が嫌がったり、動き回ったりで拭き取るのに手間がかかっていた。愛犬を撫でているときに、手袋型なら簡単に拭き取れるのではないかと思い開発に着手。動物病院やペットショップ等でのモニタリングを経て生まれた商品が「ウェット手袋なでなで」だ。飼い主からもマッサージやじゃれ合いの延長で愛犬をストレスフリーで全身ケアできると好評で、猫やウサギにも用途を拡大、海外にも販路を広げている。
昨今、日本では癒やしを求める人や在宅時間の充実のためにペットを飼う人は増加し、ペット1匹あたりに費やす支出は拡大傾向にある。また中国においても富裕者層向けのペット需要が増加しており、ペット関連産業のニーズをうまく捉えた取り組みとなった。
また、入院中に洗髪できず、手軽に頭をすっきりさせたいとの思いから開発したのが、「ドライシャンプー」だ。手袋型なので指で直接頭皮の汚れをしっかりと拭き取ることができ、水を使わず洗い流しも不要で、マッサージ効果やリラックス効果もある等、医療や介護の現場でも重宝されている。同商品では抗アレルギー、抗炎症作用、保湿性などの効果を持つみかんの果皮を活用したウェットシートも開発するなど、地域資源の有効活用にも積極的だ。
このほか、地元歯科医師と共同開発した口腔ケア用品「フィンガーウェッティ(指型歯みがきシート)」は災害時における防災用品としても注目を集め、一般社団法人災害防止研究所主催の2019年防災グッズ展において生活用品部門大賞に輝いた。
古くから地域の便利な調達拠点として地域の産業界を支えてきた同社は、近隣の製紙会社や紙加工会社、医療機関との取引が多く、紙に関する情報やニーズを集める広いアンテナを持つ。また、卸売やOEMで培った薬剤の取り扱いや配合に関する確かな知見、商社であると同時にメーカーでもあるという二刀流の強みを生かし、仕入、開発、製造、流通までの全てのプロセスを完結できる環境が、コストや開発期間の短縮につながっている。商品開発の独創的なアイディアも加わりオンリーワン商品を提供することで、躍進を遂げてきた。
あったらいいな、ありそうでなかった物を次々とカタチにしていく面白い商品開発で、なくてはならない存在として消費者の暮らしを支えてきた同社。次の目標として、環境の配慮への課題や海外を視野に入れた市場の拡大など、グローバル展開にも積極的に取り組み、個性的な商品でニッチトップ企業を目指している。
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※掲載の内容は、令和4年3月18日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手、および担い手候補である企業を「地域未来牽引企業」として選定している。
様々な支援策や専門家派遣も実施し、セミナーなども随時開催している。