株式会社アテックスは1934年に愛媛県松山市にて創立以来、長きにわたって安定した業績と果敢な挑戦で、今もなお成長し続ける企業である。
当初は土管製造や鋳造を手がけていたが、戦後に農機具製造業に転換し積極的に展開、数々のヒット商品を生み出している。また、技術を駆使して開発された電動車いすは簡単操作や利用者に嬉しい機能が好評で、各方面から高い評価を受けている。
技術力と品質で日本の農業を支えてきた同社は、福祉業界に進出後、今日の高齢者の自由度と生きがいを創造している。
1945年頃からの農地改革により農業生産手段の高度化が進んでいるなか、同社は次々と農業機械を開発し農業の発展に貢献してきた。海外への進出も早く、ヨーロッパやアジアの市場を拡大している。トレンドを取り入れた構想やニーズに合わせた細かな改良、また、優れたフォルムやネーミングセンスも秀逸である。
中でも、乗用草刈機「刈馬王」は、4WDや業界初のフロントサスペンションの搭載により、力強くスムーズな走行を実現した人気のシリーズである。また、日本初となるハイブリッドラジコン草刈機「神刈」は、農業機械の技術と電動車いすのモーター制御技術の結晶で、機械の状態をLEDで確認しながら、不可能とされてきたロケーションや45度の急斜面でも草刈を可能にした。これは次世代に向け進めているスマート農業に対応した製品として注目を浴びている。
その他にも、堆肥散布車「マキタロウ」、高床作業車「楽畝(ラクーネ)」、小型クローラ運搬車「キャピー」、石材クローラ運搬車「力石」等、農業の効率化と作業量の負担減のために欠かせないラインナップを展開している。
1985年頃から、円高の影響による米価の下落や外米の輸入等があり、農業界は苦しい時期を迎えようとしていた。そこで農機具の開発に並行して異業種である福祉分野へ参入し、効率化や力強さに加えて、ソフトで人や環境に優しい企業へのシフトチェンジと全国への拠点展開を果たした。
満を持して登場した電動車いす「マイピア」は、デザインや配色、ネーミング等、それまでの車いすの概念を脱却した乗り物として、発売以降、順調に販売台数を延ばしている。また、近年の高齢者の免許返納などの影響で、今後さらに需要が増えることが予想される。
フル充電で最大約30キロメートルの走行、四輪サスペンションによる衝撃が少なく快適な乗り心地、日常使いに便利なフロント大型バスケット、盗難防止機能や緊急コールボタン、踏切内での立ち往生を未然に防ぐ広幅タイヤなど、トラブルに備えた安全装備等、利便性と安全に配慮した機能を多く搭載していることもブレイクの要素である。
誤発進を防ぐための「小型電動車両の安全なアクセルレバー」では、令和3年度地方発明表彰にて特許庁長官賞を受賞、さらに、確かな技術と製品の安全性、また社内の管理体制などが評価され、第15回製品安全対策優良企業表彰にて技術総括・保安審議官賞を受賞した。それでもなお、村田社長は「審査を受けたことで、様々な気づきがあった。IoTとの融合等、マイピアをまだまだ進化させたい。」と、さらなる意欲を見せている。
「活発な高齢者が増加しているため、電動車いすをはじめとする福祉機器の需要拡大が見込まれる。メーカーだけでなく、電動車いすに対応したインフラ整備など行政や自治体とも連携して、より魅力的な地域づくりに貢献したい。」村田社長はビジョンを持っている。
ものづくりの担い手として、省力化、省エネ、品質マネジメントシステムなどのイノベーションや、環境マネジメントシステムの運用やエコ設計、グリーン調達、鉛フリー、脱炭素、カーボンニュートラルなどの環境への配慮も持続的に取り組んでいる。
また、創業者である村田栄一氏の願いである人材育成の思いをつなぎ、奨学金により愛媛県民の就学支援に寄与している。こうした誠実な姿勢で得た信頼が実を結び、地元で欠かせない存在として根付いてきた。そして、創立100年を間近にさらに飛躍を続け、創造的な未来へ向けて進化し続けている。
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※掲載の内容は、令和4年5月20日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。
製品安全に積極的に取り組んでいる製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体をそれぞれ企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で、「製品安全対策優良企業」として表彰するもので、各企業が扱う製品自体の安全性を評価するのではなく、企業・団体全体の製品安全活動に関する取組について評価している。
2021年に表彰を受けたのは全国で8企業で、同社は中小企業 製造事業者・輸入事業者部門 技術総括・保安審議官賞を受賞した。