四国経済産業局

インタビュー

「事業継続力強化計画」 策定への道しるべ!
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独立行政法人中小企業基盤整備機構四国本部 中小企業アドバイザー(経営支援)
溝渕 善彦 様

水害、地震、サイバー攻撃など ──これらのリスクに備えるだけでなく会社ごとのリスクにも対応した対策・計画を!

──(独)中小企業基盤整備機構(中小機構)四国本部ではどのような支援をされているのですか?

中小機構四国本部は、経営者の様々な課題や悩みに応じた多様な経営支援メニューで、中小企業の成長を応援する組織です。その中の一つとして、中小企業を取り巻く、身近な事業継続リスクを低減させ、企業存続を目指すための「事業継続力強化計画」を自社で策定しようとする中小企業、あるいは数社で連携しながら計画を策定しようとする中小企業の皆様に対してアドバイスを実施しています。

中小企業は、水害、地震、サイバー攻撃などの様々な事業リスクに直面しています。また、これらのリスクだけでなく会社ごとに抱えるリスクもあります。事業継続力強化計画を策定することで事前対策ができ、いざというときのリスクを回避・低減できるので企業存続には非常に有効なツールだと思います。想定しうるリスクの洗い出しと、それらのリスクを踏まえての「これからの取り組み」を事業者の皆様と一緒に考えること。それが中小機構の行っている「事業継続力強化計画」策定支援です。

──ご支援されるにあたって、どのようなことを重視していますか?

事業リスクといっても自然災害やサイバー攻撃以外にもたくさんあります。これは会社ごとに異なっていると言っても過言ではありません。ご支援に入る前に支援先のホームページなどを拝見して、おおまかな企業概要を把握させていただくことから始めます。そこには会社の状況はもちろんのこと、企業背景や重要視していることなど、さまざまな情報を得ることができます。こうしていると、会社を深く知ることができますが、そのぶんリスクも見え隠れします。「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」が大事と言われますが、このような企業背景をしっかり把握・整理することこそが本当の意味での事業継続力強化、あるいは企業存続のための計画策定につながると思います。

──リスク対策はどうしても後回しにされることも多いと思います

よく聞くお話ですね(笑)。皆さんそのようにおっしゃいます。体に例えれば、しっかり健康管理をされる方、そうではない方を比べてみて下さい。体の状態がよく分かっている方は健康管理をしっかりしようと考えます。企業も同じで、会社のリスクをしっかり把握・整理できていれば、リスク対策の重要性をしっかり認識できるはずです。つまり、「計画策定の目的を見いだせるかどうか」だと思います。これは事業継続力強化計画の申請書に書くことが目的ではなく、会社全体を見つめ直し、「最も重要な部分、最も守るべきことは何なのか」を把握すること、それを守るためにはどうするのかを整理・検討することです。日頃から対策をとられていたら、災害が発生したとしても被害は最小限に抑えることができるかもしれません。

例えば、食品製造業であれば最も重要な事の一つに「製造方法を共有すること」があるかと思いますが、少人数しか知らないという時に緊急事態が発生したら、商品を作ることもできなくなってしまいます。

重要性を再認識できれば、共有する人数を増やすなどの事前対策をとっておくことも可能です。整理していく中で会社単独では解決できない、という答えになることもあるでしょう。そうなれば、同業他社や普段から連携している企業同士で連携して解決できることもあると思います。実際にそのような例は多くあって、これまでしっかりサポートさせて頂いています。事業継続力強化計画はいわば「経営の根幹」であり、大変重要なことだと思います。

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健康管理と同じく、事業継続のためには自分自身で考え行動することが大切

──どのような業種で連携型の事業継続力強化計画を策定していますか?

どのような業種でも策定することができると思います。例えば、介護事業者同士の連携ですが、大規模地震など災害が発生した場合には多くのサポートが必要となります。あらかじめ連携体制を検討・構築しておくことで迅速な避難や人命確保につなげ、存続リスクを下げることも可能です。

そのほか、学習塾の連携という事例もありまして、緊急事態に生徒を少しでも早く避難させるために連携するというものです。また、製造業者と運送業者などサプライチェーンとしての連携も大事だと思います。いろんな連携型の計画ができあがれば、それらが連動して機能することで地域の災害対応能力が大幅にアップするのではないでしょうか。

──事業継続力強化計画を策定する中で最も重要なことは何だと思いますか?

健康管理を例に挙げましたが、健康管理は自分自身でやらなければならない、やる気になるからこそできることで、事業継続力強化計画の策定も同じく自らやる気にならなければ意味がありません。「事業継続」ということですから経営者である社長自身が一番やる気にならなければなりませんし、地域に貢献すること、従業員とその家族を守る立場だということを再認識してもらいたいです。

そのためには、単独型であれ連携型であれ、まずはできる範囲で整理してみる、そして最も重要なことを洗い出し対策を考えたうえでいざというときに機能する事業継続力強化計画を策定することが大事です。そして状況は常に変化しています。一度作ったら終わりということではなく、更新し続けることが重要ですし、私どもも継続して支援できればと考えています。
(2024年3月27日掲載)

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