インタビュー


協同組合一宮グループ
事務局長 笠原 洋之 様
事業部長 藤田 りえ子 様
【ポイント2】 3つのグループそれぞれがしっかり連携することができた
【ポイント3】 計画作りが普段の連携強化につながって大きなメリットに
会社のご紹介
協同組合一宮グループ様は愛媛県新居浜市にある協同組合で、株式会社一宮工務店や日泉化学株式会社、一宮運輸株式会社など「一宮グループ」をまとめる立場です。建設ブロック、化学ブロック、物流ブロックと大きく分けて3部門で計22社にもなる大所帯、取りまとめには何かと大変なところもあると思いますが、グループ内の国内企業(大企業1社を除く)15社全てが事業継続力強化計画の認定を受けられているとのこと、取りまとめ役としてどのような経緯で推し進めたのかを取材してきました。
研修会参加と過去の被害経験がきっかけに
──事業継続力強化計画を作成しようとしたきっかけは?
最近、自然災害が頻発激甚化していますし、新型コロナウイルスが蔓延するなど企業を取り巻く環境はとても不安定になっていますよね。そんな中、愛媛県中小企業団体中央会様で開催された研修会に参加したことが大きなきっかけとなったのです。セミナーでは、自社における自然災害のリスクを再認識し、事業継続力強化計画を策定することが防災・減災対策につながることがわかり、とても有益だということが理解できました。実は、遡ること約20年前、2004年9月に発生した集中豪雨によって「一宮センタービル」が冠水してしまったことがあるのです。地下はもちろんのこと1階部分まで雨水が入って大変だったのですが、グループを挙げて復旧に取り組み、想定よりも早く平常に戻ることができたのです。この経験もあって、事業継続力強化計画をグループ内各社に策定してもらって、いざという時に連携しながら早期復旧を果たすことを目標としたのです。
──愛媛県中小企業団体中央会のご支援が役に立ったのですね
はい、セミナーがきっかけで一宮グループ(国内グループ各社)を挙げて計画作りに取り組むことになったのですが、愛媛県中小企業団体中央会様におかれては一宮グループ全体に対する研修を複数回、そして建設、化学、物流の3ブロックそれぞれにも研修を行って頂きました。これは凄く意味のあることで、3ブロックは全く別の事業を行っていますから、計画の内容もそれぞれ別になるところ、逆を言えば建設や化学など各ブロック内では一定の共通事項もあるということで、ブロック内の担当者同士が知恵を出し合いつつ、加えて、それぞれの会社としてもより深く考え計画を作っていくことで、より良い内容の事業継続力強化計画を作ることができたと思いますし、より近道となったように思います。おかげで各社の書類作成スピードも上がり、事業継続力強化計画の申請対象となる企業全てが認定されるに至っています。愛媛県中小企業団体中央会様におかれては、非常に手厚い支援をいただき、感謝しています。

ブロック内、グループ内の連携が強固になった
──3つのブロック内でしっかり連携されているのですね
各ブロック内は日々、いろいろなことで連携しているわけですが、単独型の事業継続力強化計画だけにとどまらず「連携型」の事業継続力強化計画も策定しています。3つのうち2つのブロックがすでに連携型事業継続力強化計画が認定されていまして、残り1つについても現在策定中です。いざというときには各ブロック内の総力を発揮して早急に復旧すること、場合によってはブロックの枠組みを超えた「一宮グループ」としての総力を挙げて復旧に取り組むことが従業員の安全や会社を守ることに繋がると思っています。
──計画策定を通じて良かったこと、メリットを感じられました?
まずは何より各社の現状把握と改善点がはっきり見えたことが一番の成果だと思います。協同組合としては単独型のひな形をつくって各社に情報等を整理してもらったわけですが、本当に不足しているところが多く見えました。これは改善に向けた大きな第一歩になったと思います。そして、災害対策については以前よりも増して従業員一人ひとりの関心が高まったと感じています。また、災害対策だけでなく平時の繋がり、つまり各ブロック間の横の連携や情報共有、グループとしての意識が高まったと思いますので、経営資源的には大きなプラス効果が生まれていると言えるのではないでしょうか。ちなみに、認定されると使用することができる「認定ロゴマーク」も各社のホームページに掲出していまして、企業イメージのアップにつながっていると思います。

──最後に、改めて協同組合としての役割を教えてください
私共は「一宮グループ」という企業群の窓口であり、一般的な協同組合とは形が違っていると思います。一宮グループ全体を挙げて取り組むべきことがあれば速やかな意思決定の下、全社を通して取り組みますし、忘れていることがあれば気づきを発信する立場であると思っています。事業継続力強化計画に従って緊急時対応する必要がありますが、全従業員に向かって真摯に取り組んで欲しいと今後も伝え続けたいですし、それが会社のためでありグループのためであり、各社がお世話になっているそれぞれの地域のためにもなると信じております。協同組合としては、今後とも多様な情報を発信させていただき、グループ間の連携を深める立場でありたいと考えます。
(2024年9月9日掲載)
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