インタビュー


株式会社高知丸高
営業管理部 防災・技術・広報課 主任 陳 莉 婷 様
【ポイント2】 緊急時に力を発揮しなければならない使命
【ポイント3】 会社も地域住民の一員として貢献していきたい
会社のご紹介
株式会社高知丸高様は、高知県高知市に本社を置く建設会社で、大口径岩盤削孔、橋梁基礎工事など特殊基礎工事に強みを持つ事業者様です。国内では数多くの災害復旧工事に携わり、海外でも特殊な難工事を行っており、例えば橋梁工事では「鋼管桟橋SqCピア工法」と呼ばれる独自技術を用いて、断崖絶壁等の環境下でも安全でかつ耐震性を確保しながら低コストでの架設を実現していまして、国内外のインフラ整備等を企画提案から設計・施工をワンストップで提供する、基礎工事のパイオニア企業として知られています。また、防災先進県の高知県の企業として、産・官・学の共同研究開発に取り組み、数々の災害復旧及び防災製品を試作開発し、防災技術の高度化にも貢献されています。南海トラフ地震対策優良取組事業所に認定されているとのことで、いろいろな話を伺ってきました。

従業員を守る、事業を継続する、そして地域を守る
──南海トラフ地震対策優良取組事業所に認定されていますね
高知県では、南海トラフ地震による大規模な災害発生が懸念されており、企業は地震や津波から従業員や顧客の生命・身体を守り、事業を早期に再開できるよう、事前の準備が求められています。高知県庁は、企業の防災体制の強化と地域住民との連携による防災力向上を目的に、南海トラフ地震対策に積極的に取り組む事業所を認定する制度を設けています。弊社は、この制度において、最も高い評価である5つ星に認定されました。これは、弊社が事業継続計画(BCP)の策定や防災訓練の実施など、南海トラフ地震対策に積極的に取り組んできたことが評価されたのだと思います。
──5つ星はすごいことですね、具体的にはどのような点が評価されたのですか?
南海トラフ地震対策について、「事業継続」「社員教育」「地域貢献」の3つの視点で評価されるのですが、基準を満たした事業所が優良取組事業所として認定される仕組みです。当社は、3つそれぞれで高い評価をいただいたと思っていまして、例えば、社内における日常避難訓練はもちろんのこと、河川や海での要救助者を想定した救出・搬送訓練を行っていたり、防災関連製品の開発(例:激甚災害に適用可能な水陸両用泥上車)や外国人向け技能講習センターの開設、学校等と連携した防災に関する見学会の開催など、様々な活動を通じて地域とともに歩んでいます。
──「事業継続」 と 「社員教育」 について、少し詳しく教えてください
弊社は、平成25年頃からBCPの策定に取り組み始め、防災・減災に力を入れてきました。これは、災害復旧工事が業務の一つであることから、自社が被災した場合でも事業を継続し、社会貢献を果たすために不可欠であると考えているためです。これまでも災害復旧工事に携わっていまして、一例を挙げますと、高知自動車道の土砂崩れや、熊本地震、能登半島地震による道路崩壊といった大規模災害の復旧工事に携わり、迅速な復旧に対応してきました。特に、能登半島地震では、鋼管桟橋SqCピア工法を用いた高速道路、港湾岸壁等の復旧工事を実施し、被災地の早期復旧につなげています。
社員教育については、多様な防災訓練を実施していまして、社内避難訓練だけでなく、徒歩での帰宅訓練、体力強化訓練、災害図上訓練、さらには、河川や海での救助訓練など、様々な種類の防災訓練を実施しています。これらの訓練を通じて、社員一人ひとりの防災意識を高め、いざという時に適切な行動が取れるよう備えています。そして、「安全大会」を年に3回以上開催していまして、BCP訓練、減災・防災研修会、図上訓練を実施してBCPに関する知識の共有と、社員全体の防災意識の向上を図っています。
これらの取り組みを通じて、(1)災害発生時の事業継続(BCPに基づいた迅速な対応により、災害発生時でも事業を継続し、社会に貢献できる)(2)社員の安全確保(防災訓練の実施により、社員の安全を確保し、人的被害を最小限に抑える)(3)地域社会への貢献(災害復旧工事や防災訓練を通じて、地域社会への貢献を果たす) という3つの効果を期待しています。
平時に習得した操作技術を災害発生時に最大限活かすことが重要
──すごく本格的ですね。その他の取り組みもありますか?
弊社では、従業員の約3割を外国人が占めています。この多様な人材が安心して長く働ける環境づくりを目指し、「高知建機技能センター」を開設しました。こちらでは、外国人労働者の方々も日本語能力に関わらず、建設現場に必要な資格を取得できるよう、多言語対応の講習を実施しています。
具体的には、玉掛け、小型移動式クレーン、車両系建設機械などの資格取得に必要な技能講習や特別教育を、中国語、ミャンマー語、インドネシア語、英語の4言語で実施していまして、学科の知識から機械操作まで、日本語が初級レベルの方でも理解できるよう、丁寧に指導しています。
この講習は、当社従業員だけでなく、社外の研修生も受講可能です。受講生は、習得した技能を実際の業務に活かすだけでなく、災害発生時には地域防災に貢献できる人材へと成長することが期待されます。
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救助訓練 -
安全大会の様子

──地域住民や地域社会との連携にも取り組まれていますね
地域住民の皆様、特に弊社が所在する地域の町内会と連携し、避難訓練を継続的に実施しています。災害発生時には、地域の一員として人命を守るために本社屋上を避難所として開放しますし、長期的な避難生活を想定した備蓄品を備えていまして、定期的な防災訓練では、地域住民の方々にもご参加いただき、テント設営や非常食の試食など、実体験に基づいた訓練を行っています。
また、地域社会への貢献として、高知市が実施するネーミングライツ事業において、「弥右衛門公園」を「マルタカ防災ひろば 弥右衛門公園」と命名し、防災啓発活動に力を入れています。さらに、高知県の健康問題への取り組みとして、ウェルネス事業部を新設し、フィットネスジムを24時間年中無休で運営することで、地域住民の皆様の健康増進をサポートし、地元企業の健康経営実現に貢献したいと考えています。
当社が保有する防災技術を広く社会に発信するため、学生や県内在住の外国人の方々を対象とした防災見学会を実施するなど、様々な取り組みを行っております。また、高知市、南国市、須崎市と防災協定を締結し、災害発生時の迅速な対応体制を構築しています。
今後も、BCPの見直し・改善を継続的に行い、より災害に強い会社を目指すとともに、地域社会との連携を深め、安全で安心な地域づくりに貢献したいですね。
(2024年9月13日掲載)
〒781-0014 高知県高知市薊野南町12-31