第28回

令和6年6月21日 発表

株式会社 リブドゥコーポレーション

「介護」と「治療」の両域で生きるチカラを応援する


株式会社 リブドゥコーポレーション 写真
株式会社 リブドゥコーポレーション
イノベーションセンター外観

超高齢社会に突入し、新たな日常品となったのが大人用紙おむつ。2018年には我が国の製造業の動きを示す数値のひとつ、鉱工業指数の品目に「紙おむつ」が加わるほどの産業となっている。

国内トップクラスの紙産業の集積エリア四国中央市に本社を置く、株式会社リブドゥコーポレーションは、大人用紙おむつを中心に介護用品や医療機器を製造・販売する。具体的には、大人用紙おむつと排泄ケア商品・サービスを展開する「ライフケア事業」、手術時に使用するメディカルディスポーザブル用品を展開する「メディカル事業」を行っている。

1965年、愛媛県川之江市(現四国中央市)に前身トーヨー衛材株式会社を設立し、紙おむつや衛材関連商品の製造・販売を開始。日本社会が高齢化を迎えるとニーズの高まりをうけ大人用紙おむつ、介護用品・用具に主軸を移し、1995年には世界で初となるパンツ型の大人用紙おむつ「はくパンツ登録商標マーク」を発売。その後も事業を拡大し、現在、国内26か所、海外1か所に営業所・工場・物流センターを持つ。大人用紙おむつとパッドは約90種類、サイズ展開は業界最多の7種類があり、ユーザーの日常動作や体型に合わせた商品開発をしている。

革新的なパルプレス吸収体シートの発明

代表取締役 社長執行役員 写真
代表取締役 社長執行役員 宇田 知仁 氏

近年需要が伸びている軽失禁用パッドに使用されているのが、パルプレス吸収体の製造を可能にした発明「シート状吸水体の製造方法および装置」。令和5年度四国地方発明表彰において四国経済産業局長賞を受賞した。

一般的な紙おむつの吸収体が、粉砕したパルプと高吸水性樹脂(ポリマー)の混合物であるのに対して、本発明は、パルプを使わず2枚のシートに高吸水性樹脂を挟んでいる。これまでにない構成の吸収体を安定的に製造可能にした。一般的な商品の半分以下の薄さでありながら、しっかりと吸水するのが特徴である。

20年以上かけて社会の需要が追いついた

粉砕したパルプと高吸水性樹脂
粉砕したパルプと高吸水性樹脂(ポリマー)

実はこの発明が生まれたのは、今から20年以上も前。2000年に自社開発で薄型のシート状吸水体を作ろうと装置開発に着手し、2004年に出願、2009年に特許を取得した。着手時は「パルプをたっぷり使用した厚いおむつの性能が優れている」という認識が持たれていた。それでも移送コストの面から薄型紙おむつの需要は必ず高まるという当時の社長である宇田 正氏(現相談役)の先見の明と、開発にあたった丸畠 和也氏、森浦 理氏らによって形となった。

「扱いの難しい粉状のポリマーを、どのように基材シート上に意図した通りに着地させるか。またポリマーだけでは、水分をうまく拡散できないので、ポリマーとシートの層の効果的な設計が課題でした」と丸畠氏は振り返る。移送コスト以外にも、アクティブシニアが増え目立たない薄型おむつがトレンドとなったことや、環境負荷への意識の高まりからパルプレスの構成も評価され令和5年の受賞につながる。

この開発がきっかけとなり、独自の技術や装置の開発にも注力するようになり、2022年には徳島県美馬郡つるぎ町に研究開発に特化したイノベーションセンターを開設。現在、素材や技術開発などテーマごとに5つの研究室があり、約30名が在籍する。

四国で生まれた「人を活かし、社員を大切にする」会社の姿勢

森浦 理氏、丸畠 和也氏
左から丸畠 和也、森浦 理氏

前述の丸畠氏は、装置開発において欠かせない存在。新たな装置を導入する際は必ずといっていいほど彼の知識と技術が活かされている。丸畠氏だけではなく、リブドゥコーポレーションには取り組みごとに語られるべき登場人物がいる。それは宇田 正相談役が社長時代に常々口にしていた「人を活かし、社員を大切にする」目標を今も変わらずに念頭に置いていることが、少なからず影響している。

「四国の片田舎で事業を始めたので、だからこそ人を大切にする意識は高いと思います」という代表取締役 社長執行役員宇田 知仁氏の言葉通り、通常の有給休暇に加え会社独自の休暇といった福利厚生や、環境などへの学びを深める文化会の実施など社員に向けた取り組みがいくつもある。また「懇話会」は、年100回以上かけ全社員と社長や経営幹部とが対話をする会。1開催につき1時間前後、多くても10名ほどの社員とテーブルを囲み、日頃の想いや仕事について意見交換を行う。ここから上がった声は、社内の取り組みに反映されることも多いという。

今後の展望の問いに対し、宇田 知仁社長は「『人を大切にする』目標を更に発展させ、主体的で自律的な組織であることが、これからの時代に重要だと考えています」と述べた背景には、今日までの社員の実績がある。現在も進行中の、業界初となる高バイオマス度かつ易水溶性ポリマーを使用した紙おむつの共同開発事業や、アメリカでのビッグサイズ紙おむつのEC販売など、特筆すべき取り組みが続く。それは、それぞれに語られるべき主体的な社員がいるから。宇田 知仁社長は「働くことは人生の中で長い時間を占めます。だからこそ社員にとって誇りとなる会社であり、社員が自らの人生を考え『こんな活動をしてみたい』という時に、会社が社会や世界とつながる窓口でありたいです」と思いを語った。

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企業データ

名称
株式会社 リブドゥコーポレーション
所在地
愛媛県四国中央市
事業内容
大人用紙おむつ、介護用品・用具、メディカルディスポーザブル用品(医療用不織布製品、キット製品)の製造および販売
受賞歴、政策の活用等
  • 2017年度 関西経営品質賞シルバー(ライフケア国内事業部門)
  • 2019年度 関西経営品質賞シルバー(メディカル事業部門)
  • 令和3年度「気候変動アワード」(徳島県)
  • 令和5年度四国地方発明表彰 四国経済産業局長賞
ウェブサイト
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お問い合わせ
電話 0896-58-3019

※掲載の内容は、令和6年6月21日現在のものです。また、提供データ、画像を含みます。

Point
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