「この場所を盛り上げたい。」という思い(ココロザシ)
大籔崇さん エイトワン(現 株式会社Yes Local) https://yeslocal.jp/

四国有数の観光資源である松山城。そのお膝元のロープウェイ街で、今年4月に今治タオルの専門ショップを核とする複合店舗「ルブリュ松山」がオープンしました。ショップ運営だけでなく、道後温泉の旅館やホテルを運営し、地元食材をふんだんに使ったお弁当の販売やフリーペーパーの制作まで手がけている株式会社エイトワンの代表取締役、大籔崇さんにビジネスにかける思いをうかがってきました。-新しくお店をオーブンされたそうですね。 大籔さん -4月に、ロープウェイ街にあったアンテナショップ「ehimesm(えひめイズム)」を継承し、「ルブリュ松山」という名前でリニューアルオープンしました。「ルブリュ松山」は、今治タオルの専門ショップ「伊織(いおり)」、愛媛県産品ショップ「ehimesm」、自社農園などで採れた新鮮な野菜を使用した、体に優しいお弁当を販売する「Vimi(びみ)」の3店舗で構成しています。"ルブリュ"というのはロシア語で"すき"とか"いいなぁ"という意味です。松山は、昔からロシアとの関係が深くて、日露戦争のときに捕虜のロシア兵に対して、松山市民と同じように分け隔てなく接したと聞いていますし、最近はロシア人墓地の改修をしたりして、今でも友好関係を築いています。「ルブリュ松山」には、こうした"おもてなし"や"温かい気持ち"を大切にして、国内だけでなく海外の観光客にも足を運んでもらいたいと思っています。








(※) 佐藤可士和さん・・・クリエイティブディレクター。今治タオルプロジェクトで、ブランドマーク&ロゴデザインやオリジナルタオルのデザインをはじめ、今治タオルのブランディングプロジェクト・クリエイティブディレクターとして参加。





ただ当時の「夢蔵」は、宿泊客に愛媛の色を感じてもらえるものと言えば、道後のお湯ぐらいしかありませんでした。そこで、砥部焼や菊間瓦の窯元さんとコラボレーションして、各部屋の浴槽のタイルや洗面鉢、コップとか室の掛物とかをそれぞれの窯元さんの作風でコーディネートしていきました。



"温泉"と"タオル"。これはすごく相性がいいと思います。「夢蔵」では、3種類の今治タオルから、宿泊客の好みにあったタオルを選べるようにしたり、パジャマやバスロープもすべて今治タオルにしています。料理も愛媛産の新鮮なものを化学調味料や添加物を使わずに提供しています。「夢蔵」、「伊織」、「八八」、「Vimi」の経営の根本には、愛媛にも利益が出る、愛媛にとっていいこと、愛媛が盛り上がること、そういう強い思いがあるので、それぞれの事業が自然とつながっていっているように思います。










それに、僕らの世代は、青春まっただ中にバブルが崩壊した世代で、常に不景気とかリストラとかいう言葉が刷り込まれていた世代です。卒業間近になって1か月半ぐらい入院した時には、ただでさえ不景気なのに、何もないまま社会に出てしまって生き抜いていけるだろうかと、すごく不安で真剣に悩みました。悩んだ挙げ句、就職というよりも、どんな状況になっても生き抜いていくことができる自分というものを作っておかなければいけないなぁと強く思うようになり、卒業後は、税理士やフィナンシャルプランナーなど、いろいろ挑戦していきました。

会社を興せば、利益を出すために経営するというのが普通だと思いますが、それよりも、これまで育ててもらった愛媛を盛り上げよう、何かを返していこうという思いを持って、いつも事業に挑戦していく、当初のこころざしを忘れないようにしています。多分、世の中には、挑戦したくてもできない人や、こういうのをだれかにやって欲しいといったことを思っている人が結構いると思っています。そういう思いをくみ取って挑戦しているので、まわりの方が一緒になって応援してくれているのかなぁと思っています。

掲載日:2012年8月8日 取材者:T・K