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四国のお土産で、何度も来たくなる楽しい店を

森孝行さん 四国ショップ88 (株式会社 生駒屋)

四国ショップ88 http://shikokushop88.com
株式会社 生駒屋 http://ikomaya.jp
森孝行さん
 香川県のJR高松駅前にある「高松シンボルタワー」。その1階に、四国各県の、ちょっと変わった、面白い食品や雑貨を取り扱っているお店があります。その名は「四国ショップ88」。実は、このお店をやられているのは、小豆島の素麺屋さん。「四国中の面白いモノを集めれば、北海道や九州の物産にも対抗できる!」そんな思いでお店をやられている四国ショップ88の店長、森孝行さんにお話をお伺いしました。
店内の様子

-「四国ショップ88」を初めて見たとき、役所がやってるんだろうかと思いました。 森さん -あはは、堅い名前ですよね。今でもよく言われます。「香川県がやってるの?」とか。
 おしゃれな名前とかいろいろ考えたんですけどねぇ。分かりやすいのがいいなっていうのと、横文字はなんか違うし、ストレートな方が郷土っぽくていいなと思って。
 それに、自分自身が素麺メーカーの息子なので、堅い名前の方が信頼しやすいかなとも思って決めました。

四国ショップ88のロゴ

-その素麺メーカー、生駒屋の息子さんが、どうして四国のお土産を売るお店をやられるようになったのか。まず、そのあたりから伺わせてください。 森さん -生駒屋は、自分が子供の頃、父(社長)が脱サラして始めた素麺やうどんの製造・卸会社です。
 なので、自分は、小豆島で素麺やうどんに囲まれて育ちました。小豆島の高校を卒業後、島を出たいという気持ちもあって、大阪の大学に進学しました。父の方は、前々から素麺や郷土料理の飲食店をやりたがっていて、高松シンボルタワーのオープンとあわせて飲食店を出すことになったんです。
 その飲食店の開店日、シンボルタワーがオープンする2004年3月末が、ちょうど、自分が学校を卒業する時で。それで、実家に戻るという形で飲食店を手伝うことにしました。

店内の様子

-飲食店の手伝いで戻ってこられた。  地元を出たかった森さんが地元に戻る、実家の会社に入る、それも慣れている素麺メーカーじゃなく飲食という新事業をやる、そんなことに、抵抗はなかったですか?
森さん -抵抗はなかったですね。
 高松駅前にできるシンボルタワーに飲食店を出すと聞いて、面白そうだと。
 大学で専攻していた建築デザイン、サークルでやってたイベント、アルバイトでやってた飲食店の仕事、そんな経験をしてたので、そこそこ自信もあって。むしろ、父より自分の方が向いてるんじゃないかと思って戻ってきました。
 実際、店舗の設計やデザインなんかも大学で学んだおかげで、図面の理解もできて、考えたことがカタチになっていくのが楽しくて。卒業前の半年間は、大阪と香川を何度も往復しましたね。

森孝行さん

 でも、経営がなかなか難しくて、結局、飲食店は5年で撤退しました。
 撤退した後は、実家の素麺やうどんの営業をやってたんですが、そんな時、「瀬戸内国際芸術祭」があって、それで「四国ショップ88」をオープンすることになるんです。
-「瀬戸内国際芸術祭」があって、オープン? 森さん -ココ。今、お店がある場所、この前に何があったか覚えてますか?
 3年前に開催された「瀬戸内国際芸術祭2010」の公式ショップがあった場所なんです。
 芸術祭が終わると、当然、公式ショップは撤去されますよね。でも、芸術祭で予想以上の人が来られ、シンボルタワーの管理事務所の方がお土産の需要を感じられたようで、連絡をいただいたんです。
 「飲食店を撤退する時の書面に、お土産ショップをしたいと書いていたけど、やってみませんか?」って。

店内に並ぶ商品
店内に並ぶ商品 店内に並ぶ商品

 飲食店をやってたときも、レジ横のお土産品が売れたりして、お土産の需要があるなあと肌で感じてたんです。シンボルタワーへは、出張で来られる方も多いですからね。
 それに芸術祭の勢いが予想以上だったし。何より、自分がお土産を人にあげたりするのが好きなので、面白そう、やろうって思ったんです。
 ただ、自分がよく知ってる小豆島や香川の商品だけじゃ普通すぎる。それなら、四国4県の商品をこだわって集めたら面白いんじゃないか、北海道や九州の物産にも対抗できるいいものがいっぱいあるんじゃないかって思って、四国を専門としたお土産ショップをやることにしました。

店内に並ぶ商品
店内に並ぶ商品 店内に並ぶ商品

-お土産屋や小売りの経験はあったんですか? 森さん -全くありません。ど素人です。
 経験がないので、しがらみもない。それで良かったってとこもあるんですよ。
 良いなって思ったら、すぐに電話をかけて取り寄せたり、その場で聞いたり、紹介してもらったりが割と自由にできるんです。
 休みの日は、産直市とかへ行って、面白そうな商品を探してますしね。好きなんですよ。

森孝行さん

-商品は、全部、店長さんが選ばれてるんですか? そもそも、どういう商品を選んでるんでしょう。 森さん -全部、自分で選んでます。
 選んでるのは、自分が買って知り合いに贈りたいモノとか、もらってうれしい!ってモノ。自分が欲しくなっちゃうモノですね。どこにでもある定番商品は、できるだけ置かないようにしてるので、自分の色というか、趣味がすごい出ちゃってますね。
 それに、お土産って、相手に喜んでもらうために、たくさんの中から選ぶ楽しさや歓びがあるじゃないですか。最近は自分へのご褒美なんてのもあるし。そういう楽しめる場所にしたいんです。

ゆるキャラのサイン

-楽しめる場所。それで、ゆるキャラのサインなんていうのまであるんですね。 森さん -飲食店には、よく、有名人のサインを飾ってるでしょう。じゃあ、お土産物ショップだったら何だろう、ご当地のゆるキャラかなって思って。
 ゆるキャラさんがいるのを見つけたら、すぐ行って、サインをねだってます。ゆるキャラさんには「サイン第1号」なんて言われてます。

森孝行さん

 自分は、ディズニーがめっちゃ大好きなんです。ただ、キャストとして働いたことはないので、外からしか知らないんですが。東京ディズニーリゾートってリピート率がすごい高いんですけど、その理由って、楽しいとか、ワクワクするとか、うれしいとか。このショップもそんな場所にしたいんです。
 この店でいえば、地元の人や学校帰りの子が、時間つぶしできる場所。毎回、違うモノがあって、飽きない。そんな場所。
 四国の商品といっても、知らない商品って結構あるでしょ。ココに来たら新しい四国のモノに出会える、四国の新しい発見がある。そんな、来て、楽しめて、何度も来たくなる場所。そんな完成形のない目標というか、店を目指しています。

店内に並ぶ商品

-そのためにこだわっていることや譲れないこととかあれば、教えていただけませんか? 森さん -まず、絶対に、四国にこだわる。
 四国のモノだと思って買って、実はどこにでもあるものだったら、がっかりするでしょ。おいしくても、人気があっても、四国にちなんでなかったらお断りしています。そこは絶対ですね。
 それと、四国で頑張ってる企業さんと一緒にやっていきたいんですよ。
 自分も、もともとが素麺のメーカーなので、メーカーさんの気持ち、苦労は分かるつもりです。仕入れてもらっても、売れなかったから返品されるって、ツライんですよ。だから、少しずつでも買い取って、売り切るようにしています。それに、少しずつでも売り切っていると、メーカーさんも新しい商品を出してくれるんです。すると、置いてる商品が少しずつ変わってきて、飽きにくくなるんです。

森孝行さん

 また、一つの商品アイテムを全種類置いたりもしてます。普通の店だと、売り場の関係とかで数種類しか置けないと思うんですが、全種類が並んでると面白さもあるし、メーカーさんもテストマーケティングできるんですよ。

店内の様子

 あともう一つ譲れないのは、商品をどう置くか、売り場のレイアウトですね。ココに置いて欲しいと言われることもあるんですが、譲れません。面白いモノを扱っているんだから、面白く並べたい。
 一つ一つの商品の、つくり手さんの想い。どの商品も、メーカーさんのスターばっかりなので、埋もれがちになるんですよ。伝わるよう、買ってもらえるよう、売り場を知っている自分たちでやってます。

森孝行さん

―最後に、これから考えられていることがあれば、教えてください。 森さん -いろんな方との関係を深めたいですね。
 例えば、この場所に来られてる方、20歳代、30歳代の方や高校生が多いんです。そういう、来てくれてる方に役立つ情報を出したい。商品だけじゃなく、情報も集まる場所にして、自然とまた人が集まってくれる場所にしたい。
 また、このシンボルタワー、いろんなイベントがあるんです。学会、会議に、家族向けイベントも多い。そういうイベントとコラボしてみたい。
 あと、同じ地元で頑張ってる企業さんともコラボしたいですね。例えば、店の一部を使って試験販売してもらうとか、そういうことができないかなあと思ってます。
 そして、将来の夢は、やっぱりディズニーですねぇ。大好きなディズニーみたいに楽しく、ワクワクして、多くの人に愛されるお土産屋さんにしたいです。

森孝行さん 掲載日:2013年12月25日 取材者:S・C