フードテック分野における「価値創造のマーケティング戦略策定」
第2回ワークショップを開催しました
令和7年10月10日
四国経済産業局では、四国地域の食産業の価値向上を目的にフードテック支援事業を展開しています。本事業では、価値創造のマーケティング戦略の策定を支援するため、全4回のワークショップと個別面談を実施します。実施にあたっては、研究開発から事業創出の伴走実績が豊富な株式会社リバネスと、食領域のエコシステムビルダーである株式会社UnlocXが運営を担い、当局の関連施策とも連携を図ることで、単なる研修としてではなく、個の問いを起点とした事業のビジョン構築とマーケティング戦略立案手法を仕組み化することに重点をおいております。
第1回のワークショップでは、”自分の問い”を掘り下げましたが、今回はさらにそれをアップデートし、「顧客との接点構築とアーリーアダプターの視点-市場仮説の構築-」をテーマに、Future Vision Workshop を通じ、アーリーアダプターの視点で“誰にどのような価値を届けるか”を言語化する実践的ワークショップを開催しました。
開催概要
- 日程
- 令和7年10月1日(水曜日)13時30分から17時40分まで
- 開催方法
- 対面開催
(会場:P・SPO Cafe & Event(愛媛県松山市湊町4丁目3−10)) - 講師
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- 株式会社リバネス 執行役員 塚田 周平 氏
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了。博士(農学)。設立初期の2003年よりリバネスの運営に参画。実験教室、各種ライティングの実践を積んだ後、アグリ分野の先進技術開発・導入、地域創業エコシステム構築事業の立ち上げを行う。2014年にアグリテックグランプリ、2016年に熊本テックプランター、2018年に岡山テックプランター、2020年にフードテックグランプリを立ち上げ。大手・中堅企業やベンチャー、研究者等との連携による技術開発、事業開発に現場主義でコミットしている。 - 株式会社UnlocX 代表取締役CEO 田中 宏隆 氏
Panasonicを経て、McKinsey&Companyにてハイテク・通信業界を中心に8年間に渡り、成長戦略立案・実行、M&A、新事業開発、ベンチャー協業などに従事。17年シグマクシスに参画しグローバルフードテックサミット「SKS JAPAN」を立上げ。食に関わる事業開発伴走、コミュニティづくりに取り組む中で、食のエコシステムづくりを目指し2023年10月株式会社UnlocX創設。「フードテック革命」(20年/日経BP)、「フードテックで変わる食の未来」(25年/PHP新書)共著。 - 株式会社UnlocX 取締役 住 朋享 氏
クックパッドにて6年間、新規事業創出やスマートキッチン関連事業に従事。シグマクシスによるSKS JAPAN、Foodtech Venture Day(2019年-)を、それぞれ立ち上げ当初より運営支援、その後同社アドバイザリーを経て2022年参画し現在に至る。スタートアップスペシャリストとして国内外のスタートアップに精通し、カオスマップなどの業界インサイトを発信。東京大学大学院非常勤講師を兼務しスタートアップ流新規事業創出のカリキュラム設計、実施。スタートアップや大企業の新規事業支援実績多数。
- 株式会社リバネス 執行役員 塚田 周平 氏
- 主催
- 経済産業省 四国経済産業局
(企画運営:株式会社リバネス/株式会社UnlocX)
プログラム内容
1.イントロダクション・ Food Innovation Map4.0の構造理解
はじめに第2回のテーマである「誰にどのような価値を届けるか」を具体化していくにあたって、「実現したい未来」から逆算するという思考フレームについて説明があり、当日のゴールとして「全員が「誰に」の仮説を持つ」が設定されました。
続いて、ワークの全体像について共有があり、「実現したい未来」を描く際の興味探索のヒントとして「Food Innovation Map4.0」の説明が行われました。
(講師:株式会社リバネス 執行役員 塚田 周平 氏、株式会社UnlocX 代表取締役CEO 田中 宏隆 氏、取締役 住 朋享 氏)
2.Questionのアップデート
まず第1回で提示した「自らの問い」と、Food Innovation Map4.0をヒントに探索した「実現したい未来像」から、テーマとなる「新たな問い」を導き出すワークが行われました。Food Innovation Map4.0の中から、各自が興味のあるキーワードを選び出し、議論している様子がとても印象に残っています。同じ企業から参加している方の中でも、取り上げるキーワードが異なっており、1つの問いから描ける未来ビジョンの幅の広さを感じました。
(講師:株式会社UnlocX 取締役 住 朋享 氏)
3.グループワーク:2050年の未来想像/アーリーアダプターから最初のプロダクトへの収斂
グループワークでは、2で導き出したテーマ(新たな問い)を基に、2050年の社会や生活者像を議論し、未来に望まれる価値や解くべき課題を「未来ビジョン」として描き出しました。
さらにその「未来ビジョン」の実現に向けた、アーリーアダプター※となる具体的なペルソナ設定と、「誰に・どのような価値を届けるか」の言語化を行い、最初の一歩となるプロダクトの仮説設計へと繋がったように思います。
※アーリーアダプター:まずその価値をいち早く受け入れてくれそうな人(新しいものに敏感な利用者像)
(講師:株式会社UnlocX 取締役 住 朋享 氏)
4.プロダクト仮説のアウトプット/フィードバック
最後には参加者全員が、自社の問いを顧客像や体験シーンと結びつけ、具体的なプロダクト仮説の提示を行いました。前回に引き続き、講師の方々から熱いフィードバックが行われ、より仮説を具体化するためのアドバイスや、更なる展開の可能性が提案されました。
非常に濃い内容のワークを短時間で行うというハードな回でしたが、各社ともに、第1回で設定した「問い」に対して、「誰のどんな瞬間に届けたいのか」、そしてそれによって描きたい「未来ビジョン」が、より明確になってきたように思います。また今回、第2回目のワークショップということもあり、企業同士の繋がりも少しずつ芽生え始めており、場の一体感が高まってきました。次回は、これまでのワークショップで得られた問いと仮説をもとに、PoCの設計や検証を実施します。
(講師:株式会社リバネス 執行役員 塚田 周平 氏、株式会社UnlocX 代表取締役CEO 田中 宏隆 氏、取締役 住 朋享 氏)