- 業種
- 旅館、ホテル
- 建物区分
- ホテル
- 階数
- 地上8階
企業概要
ホテル古湧園
遥(HARUKA)は、道後温泉本館や松山市内を一望できる高台に建ち、今年で創業57年目を迎える老舗旅館です。この立地の素晴らしさもさることながら、当ホテルは、温室効果ガス排出量の大幅な削減を目指した世界基準の環境対応型ホテルとして、2019年10月に「ホテル古湧園
遥(HARUKA)」をグランドオープンしました。
当ホテルは、お客様のお部屋で使用される電気や給湯、大浴場に至るまで、太陽光発電や太陽熱とヒートポンプを組み合わせたハイブリッド型のクリーンエネルギーを主なエネルギー源としており、人と環境に優しいホテルです。
省エネ推進の「きっかけ」について
当ホテルでは2011年より温室効果ガス排出削減のため、環境に優しい天然ガスを導入し、国内クレジットを取得する等の取組を進めてきました。
一方で、国内では、2030年には1次エネルギー消費量を限りなくゼロに近づけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及に向け、官民共同で取り組みが進められています。
ZEBには、省エネ基準達成率によって3つのランクが定義されています。今回は、省エネ率50%以上と定義されている「ZEB Ready」を目指すこととしました。「ZEB
Ready」はZEBの中でランクが一番低いものになりますが、省エネ率50%という目標値は、省エネ効率の高い機器を導入した新築物件でも、簡単に達成できる数値ではありません。
近年、パリ協定やSDGsにおいて、温室効果ガスの削減や気候変動への対策など、国際的に環境対策への関心が高まっています。
こういった潮流の中で、国際的な視野を持って環境対策を行うことにより、省エネルギーによるコスト削減だけではなく、最近増加している訪日外国人観光客に対して、「環境に配慮した世界基準の環境対応型ホテル」としてPRができることに新しい魅力を感じました。
そこで、耐震への備えを含めたホテルの建替えに際し、より困難なホテルのZEB化を併せて進めることを決意し、2019年10月、最古の歴史を持つ道後温泉において、最新の環境対応型ホテルを皆様にご披露することができました。
主な省エネルギー活動内容について
ZEB設計では主に、外壁・窓・天井・床から熱を逃がさないよう省エネ建材を取り入れる方法と、空調・換気・照明・給湯・その他動力による設備のエネルギーを効率的に使う方法があります。
当ホテルでは、1.高断熱化(屋根、外壁)、2.高性能窓(Low-E複層ガラス)、3.高効率空調機、4.高効率空調換気、5.高効率換気、6.ハイブリッド給湯システム、7.高効率照明、8.高効率トランス、9.太陽光発電、10.BEMSの導入の10の項目に挑戦いたしました。
今回の設備の特徴の1つである太陽熱パネルを利用したハイブリッド給湯システムにおいては、太陽熱の恩恵が四季を通じて最大限活用できるよう、太陽光入射角度と集熱量を考慮し検討を重ねて、一番効率の良いパネルの角度と位置を選定しました。
また、給湯設備においては、流入電磁弁を用いて細かな設定を操作盤で可能にしました。
当ホテルでは、屋根や外壁、窓に断熱性と防音性の高い建材を使用し、お客様に快適に過ごしていただける空間を整えています。また、客室にはインバーターエアコンを採用し、室温を急に上げ下げせず、ゆるやかな室温調整を行うことができます。室温を穏やかに調整することで、人の健康に優しい室内環境を提供できるようになりました。
このように、省エネの取り組みを進めたことでお客様にご負担を感じさせる事なく、人の健康への優しさと環境への配慮を両立させています。
省エネ効果について
ZEBの導入前後の一次エネルギー消費量を比較すると、導入前は年間で18,559GJ(ギガジュール)だったものが、導入後は6,944GJとなり、約62%以上の消費量を削減できる予定です。
今回活用した補助金情報
今後の課題と展望について
ZEBの補助事業を利用しているため、まずはこれから5年間、しっかりと省エネに努めて参ります。また、良い設備を導入しましたので、設備の効率的な運用管理や、ゴミの分別、フードロスを減らすソフトな面の対策を充実させたいと考えています。具体的には、省エネに繋がる設備の使用を徹底する取り組みに加えて、環境モデル都市の松山市の推進する食べ残しを出さない3010(さんまるいちまる)運動の各種取組を進めていくことで、これからも環境への配慮につながる活動に積極的に参加して参ります。
- 活用した補助金1
平成30年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」 - 活用した補助金2
平成28年度「耐震対策緊急促進事業」