- 業種
- 大学
- 建物区分
- 病院、研究、実験施設 他
- 空調方式
- 1.エアハンドリングユニット、
ファンコイルユニット
2.空冷及び水冷ヒートポンプチラー
企業概要
国立大学法人徳島大学は、明治7年からの長い歴史を持ち、6つの学部、7つの教育部と2つの研究部を含む大学院、病院、研究施設等を持つ伝統のある総合大学です。
また、当大学の大学院では、高度な教育・研究を行っています。特に生命科学に関連した分野では、病気・植物・ロボットなどに関連する世界トップクラスの教育・研究を行っており、世界の人々が豊かに、安心・安全に生きることに貢献できるよう、様々な活動を展開しています。
省エネ推進の「きっかけ」について
徳島大学は、教育研究活動を推進していく中で、活動範囲の拡大とともに環境に与える影響も拡大していく懸念があることから、環境配慮に向けても改めて取り組んでいく必要がありました。
そこで、環境保全のための新たな技術の開発に向け、環境関連の教育・研究を盛り込んだ環境保全活動計画を策定しました。この計画では、5つの理念(1.地球環境の保全を課題とする教育の推進 2.地球環境の保全に関する研究成果の発信 3.省エネルギー・省資源や再利用等の促進 4.環境に関連する法的事項の遵守 5.地球環境の保全に関する取組状況を社会へ公表する)を環境方針として掲げ、計画推進の指針としています。その活動のひとつとして、ZEBの補助事業を活用し、ESCO事業による設備改修に取り組みました。
ESCO事業とは
最大のメリットは、初期投資を抑え、民間のノウハウ、資金、経営能力及び技術的能力を最大限に活用できる点です。
本学へのESCO事業の導入では、シェアード・セイビングス契約方式を採用し、設備導入等を含む初期投資の資金調達は全てESCO事業者が行うこととしています。
この場合、ESCO事業者が本学に対して省エネルギー効果を保証し、光熱水費の削減分から一定割合を、初期投資分を含むESCOサービスに対する報酬としてESCO事業者に支払うことになります。
万一、保証削減金額が達成できなかった場合は、ESCO事業者において補填をすることとしています。また、6年間の契約期間終了後の光熱水費削減額については、全て本学のメリットとなる点も魅力のひとつでした。
ESCO事業の内容について
ESCO事業導入前の特徴として、1.年間を通して、冷水と温水を同時に供給する必要がある、2.ガスを燃料とするチラーやボイラー等の設備が老朽化している、3.供給源から様々な建物に熱搬送を行っている、4.自然エネルギー・排熱の利用が可能であることが挙げられました。
これらの特徴に対して、1.冷水温水の同時発生という特色を活かした熱回収チラーの導入、2.電気主体の高効率チラーの導入、3.様々な建物に必要な量の熱搬送ができるよう搬送ポンプを設置、4.機械室の排熱を活用した給湯ヒートポンプ・高効率小型貫流ボイラーを導入しました。
この設備導入によって、ガス主体から電気主体へと転換を行うことにより、一次エネルギーを削減しました。また、ESCO事業者主体にて、契約期間の6年間継続して高効率BEMSによる「見える化」でデータの分析・解析を行い、定期的に報告会を開催して、その結果を運用にフィードバックし、PDCAサイクルを継続してまわすことにより、更なる省エネルギーを展開しています。
省エネ効果について
平成28年度の一次エネルギーは、21年度から23年度の平均と比べて約23%の削減となりました。これは、光熱水費削減額としては、年間で約1億6200万円です。
今回活用した補助金情報
今後の課題と展望について
近年、集中豪雨や猛暑など異常気象が続いており、環境保全はより重要な取組となると考えています。本学では継続して省エネルギー活動を推進していくことを課題と捉えており、施設や設備の運用の変化などにも柔軟に対応し、より適切なエネルギー管理を行うことも重要と考えています。
今回のESCO事業で実施したような省エネルギー設備への改修という設備面での省エネを図るだけではなく、大学と病院が一体となり、徳島大学一丸となって省エネルギー活動を推進していくための施設や設備、運用面における省エネルギー対策に継続して取り組んで参ります。
- 活用した補助金
平成25年度「住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業)」