省エネ優良事例集2024 l 富士製紙企業組合

富士製紙企業組合

資源活用と支援策の利用で、年間約419万円の経費削減

省エネ手法キーワード

  • 補助金制度活用
  • 省エネ診断
  • 既存設備の更新
  • 運用改善
  • 太陽熱
業種
和紙製造業
従業員
36名
建物区分
工場
活用した補助金等
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(グリーン枠)

企業概要

徳島県吉野川市にある富士製紙企業組合は「私達は明日の文化と郷土の伝統を真心で漉き世界に伝えます」を経営理念に掲げ、機械抄紙・染紙・和紙加工品の製造を行っています。同社は、長尺のロール紙や手漉き和紙の風合いを持つ紙などをはじめ、現代の印刷技術に対応した新しい加工技術の開発やインテリア用和紙の開発などにも力を入れています。商品はアワガミファクトリーというブランド名で国内外へ流通しています。

富士製紙企業組合外観

省エネ推進の「きっかけ」について

和紙製造工程のほとんどを人力に頼っていますが、一部では化石燃料を使用した原料の煮熟工程や紙の乾燥工程等、環境負荷が大きな工程がありました。それらを見直し革新的な方法に切り替えることで、脱炭素化を進めようと考えました。また、「令和5年度地域ぐるみの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に選ばれ、「省エネお助け隊」による省エネ診断を受けた際に、設備の老朽化による環境負荷が大きいという結果を受け、計画的な更新の必要性を感じたことがきっかけです。

和紙製造工程

主な省エネルギー活動内容について①

まずはガスの使用量について見直しました。原料を釜の中で煮熟する工程において、これまでは冷たい水からお湯を沸かしていましたが、工場の屋根に集熱器を設置し、その太陽熱を利用してできた50~60℃の温水を95℃程度まで沸かし使用することで、ガス代の削減につながりました。
また、抄紙工程においては蒸気を利用したドライヤーで紙を乾燥させており、そこから排出されるドレン水の量は800~1,000Lもありました。60~70℃のドレン水を捨ててしまうのはもったいないと感じ、回収して再利用することにしました。回収した温水はボイラーへ供給し再利用しています。
さらに、老朽化した貫流ボイラー1台をより省エネ型の貫流ボイラーに更新したところ、ガスの使用量を削減できました。

  • 原料を釜の中で煮熟する工程
  • 抄紙工程

主な省エネルギー活動内容について②

電気使用量の削減にも取り組みました。取引銀行からの紹介で、初期費用をかけずにLEDの導入ができるサービスを活用し、工場内の蛍光灯をLEDに交換しました。
結果、初期費用でかかるはずの費用を月々の経費として分散できたため、経営的にも負担が軽減されました。

省エネ効果について

ガスの使用量を見直すことで、年間のガス削減量約18,732kg、金額にして約281万円の経費削減ができました。
また、電力削減量は約48,384kWh、金額にして約138万円の経費削減ができ、合計すると年間約419万円の経費削減となりました。


2022年から2024年のガス使用量および電気使用量の比較グラフ

今回活用した補助金情報

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
内容
中小企業等が取り組む、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/
省エネお助け隊
内容
「省エネお助け隊」は、経済産業省資源エネルギー庁の「地域エネルギー利用最適化取組支援事業」で採択された地域密着型の省エネ支援団体です。中小企業等の省エネ取組に対して現状把握から改善まできめ細やかなサポートをします。
全国の各地域で活動していますので、お気軽にご相談ください。
https://www.shoene-portal.jp/about/

今後の課題と展望について

今後の課題と展望について

今後も既存設備の更新が増えると考えられるため、省エネや経費削減の観点で効率的な設備投資を計画していこうと思います。また、現場からは「気付きシート」や「情報提案制度」等を元に省エネに関する改善を積極的に採用することで、利益拡大及び従業員への還元に繋げたいと思っています。

省エネルギーに取り組む事業者へアドバイス

自社のエネルギー使用量を見直す際に、近年では、県、銀行、専門機関等の支援機関に相談しやすい環境になってきていると思います。経営的な面でも、さまざまな支援策を活用することが、大切だと思います。

会社概要
会社名
富士製紙企業組合
住所
徳島県吉野川市山川町川東136
電話番号
0883-42-2035
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