- 業種
- 不動産業
- 従業員
- 424名
- 建物区分
- テナントビル
- 受賞歴
- 2020年度省エネ大賞(省エネ事例部門 省エネルギーセンター会長賞)
企業概要
穴吹興産株式会社は、香川県高松市に本社を置く会社で、不動産事業を中心に人材サービス、施設運営などさまざまな事業を行っています。メインとなる不動産事業では、全国各地でマンションの分譲、販売代理、仲介・賃貸、戸建販売の他、中古マンションの買取再販等を行っています。高松市中心部のオフィス街では、「あなぶきセントラルビル」をはじめとしたテナントビルの管理・運営も担っています。

省エネ推進の「きっかけ」について
「あなぶきセントラルビル」は築34年を経過し、空調設備をはじめさまざまな設備の劣化状況が目立ってきていました。テナントビルということもあり、快適性の向上や建物の維持・メンテナンスコストの削減のため設備投資を検討。設備会社の省エネ診断を受けた結果、省エネルギー対策を盛り込んだ設備改修についての補助金制度があることを知り、本格的に計画を進めました。

主な省エネルギー活動内容について1
これまでテナントからは、「エアコンの効きが悪い」や、「西側がガラス張りのため、夏は午後になると窓際が特に暑い」等の声がありました。省エネルギー対策を盛り込んだ設備改修を検討する際、まずは、ダイキン工業株式会社に依頼して省エネ診断を行いました。診断で空調機の消費電力を調べたところ、夏季ピーク時でも定格消費電力の60%しか使用していなかったことが判明。「暑い」といわれるのは、空調機の能力が問題ではなく、ビル内の温度にムラがあること等が原因ではないかという結果になりました。
そこで3つの設備更新を行うこととしました。
(1)複層ガラスの更新
窓ガラスを、単板ガラスから複層ガラスに入れ替えました。複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に乾燥空気やアルゴンガス等が封入されており、中間層を設ける形で断熱性能が高まりました。
(2)照明のLED化
通路などの共用部分は人感センサーを設置し、人が通るときだけ点灯するようにしました。
(3)空調機の更新
風量アップ、気流制御向上、能力の最適化をして無駄のない配置に変更しました。
主な省エネルギー活動内容について2
改修後は、省エネ性・快適性の検証を行い、運用面の改善を続けています。ビルの管理室に集中管理コントローラを設置し、空調機データの遠隔監視や自動制御を行っています。遠隔監視で蓄積した空調運転データを分析することで、エアコン消し忘れの防止やスケジュール運転、省エネ・運用工数の削減ができ、さらなる省エネルギー対策につながっています。
省エネ効果について
設備更新により、年間の電力量1年あたり427,000kWh、原油換算1年あたり119KLの削減ができ、約800万円の経費削減となりました。2018年12月時点で、「あなぶきセントラルビル」は既築事務所として四国で初めてZEB Ready達成、築30年以上のテナントビルでは国内初のZEB Ready達成となりました。この成果により、2020年度省エネ大賞(省エネ事例部門 省エネルギーセンター会長賞)を受賞しました。
今回活用した補助金情報
※構造躯体(外皮)、建築設備の省エネルギー改修に関するもの
※省エネルギー改修に加えてバリアフリー改修を行う場合
※工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物の改修、後付の家電等の交換等は対象外
2 エネルギー使用量の計測等に要する費用
3 バリアフリー改修工事に要する費用(省エネルギー改修工事と併せて行う場合に限る)
4 省エネルギー性能の表示に要する費用
3分の1(上記の改修を行う建築主等に対して、国が費用の3分の1を支援)
・補助限度額
1件あたり5,000万円(設備改修に係る補助限度額は2,500万円まで)
※バリアフリー改修を行う場合は、当該改修に係る補助額として2,500万円または省エネ改修にかかる補助額を限度に加算
今後の課題と展望について
「あなぶきセントラルビル」の設備改修によって、省エネ効果があっただけでなく、テナントのみなさまからも「とても快適になった」と満足いただけています。今後は、自社所有の固定資産や今後開発していく不動産においても応用したいと思います。今後も、対象不動産の設備およびエネルギー使用状況から得られる改善項目を把握し、省エネルギー対策の視点を持った改修計画を検討していきます。
- 活用した補助金
平成30年度既存建築物省エネ化推進事業補助金(国土交通省)