- 業種
- 製造業
- 従業員
- 113名
- 建物区分
- 工場
- 受賞歴
- 2022年度省エネ大賞
(省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞)
企業概要
住友重機械ハイマテックス株式会社は、愛媛県新居浜市に本社工場を置く企業です。 主な事業は、鉄の圧延に使用されるロールを製造するロール事業、海上浮標塔係留や艦船のチェーンを製造する製鎖事業、 粉末材料を金属表面にコーティングする表面処理事業の3つとなり、工場は、第1種エネルギー管理指定工場となっています(原油換算:3502kL/2021年度)。 同社は、売上の8割を占めるロール事業の省エネ活動において、2022年度省エネ大賞(省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞)を受賞しました。

省エネ推進の「きっかけ」について
多くのエネルギーを使用する事業体のため、エネルギー使用量とCO2排出量の削減はかねてからの重要課題でした。 省エネ活動を始めるにあたり個人ではなくチームで課題に取り組むこととして検討を開始しました。まずは、自社のエネルギー使用状況を分析。 エネルギー消費割合が一番大きいのは電力となっていましたが、すでに諸対策を実施していたため、次いで消費割合が大きくCO2排出量も多い重油に着目し、 「重油を使用する熱処理炉の改善」に取り組むこととしました。

主な省エネルギー活動内容について①
熱処理炉の改善は5年計画で進めることとし、CO2排出量が多い重油から排出量の少ないLNGへ切り替えるための設備を導入。5基あった熱処理炉で使用する燃料を順次LNGに切り替えていきました。燃料切り替えのための熱処理炉の更新工事に合わせて熱処理炉のサイズの見直しにも取り組みました。これまでは小さなロールの熱処理にも大きな炉を使用せざるを得ない非効率な運用となっていましたが、熱処理炉の大きさのバリエーションを増やすことでロールの大きさに適した炉を使用でき、熱処理の効率化を実現しました。
また、熱処理炉の気密性を上げることでエネルギーロスを低減できました。
熱処理炉本体の設備更新の他にも省エネ化に取り組みました。熱処理ではロールを積載する架台も加熱することでエネルギーを消費するため、
これを小型化・軽量化することで消費エネルギーを削減できました。
主な省エネルギー活動内容について②
ガスをより効率的に燃焼させるため、空気比の自動制御や炉圧の制御ができる自動空気比制御システムを導入。 設備の故障などのトラブル時に即対応し無駄な燃料消費を防止するため、熱処理炉のガス流量、炉圧、温度などをリアルタイムで監視できるシステムを導入しました。
省エネ効果について
これらの取り組みによる2021年度の省エネ効果は、活動前の2017年度に比べ、
熱処理炉におけるエネルギー消費原単位は45%削減し、エネルギー消費効率の改善が見られました。また、CO2排出量は64%の削減となり、経費として3,175万円(※)の削減を実現することができました。
※A重油 75.0円/L、LNG76.3/kgで算出 (当社での2021年度購入平均単価より)

今後の課題と展望について
今回の取り組みによって熱処理における炉内の温度分布の改善ができたことから、次は、ヒートパターンの見直しを検討したいと思います。熱処理時間の短縮などを実施することで、従来ヒートパターン熱処理時の20%以上のCO2排出量削減を目標としています。今後も、更なるエネルギー使用効率の改善とCO2排出量の削減につなげていきます。
省エネルギーに取り組む事業者へアドバイス
今回の活動において、間接部門、生産部門が一体となり小集団活動として連携し、成果を上げることができました。地道なボトムアップ活動による現場への展開や、上層部に対する効果的な設備投資の提案が大切だと思います。
- 2022年度省エネ大賞
(省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞)受賞