- 業種
- 製造業
- 従業員
- 140名
- 建物区分
- 工場
- 受賞歴
- 令和5年度省エネルギー月間四国地区表彰 四国経済産業局長表彰(エネルギー管理優良工場等)受賞
企業概要
香川県高松市に本社を置く株式会社富士カガクは、米袋や自動包装用フィルムなどポリエチレン各種包装袋、食品の包装などに使用されるラミネート製品、及び高機能性フィルム製品等の製造・加工・販売を行っています。製品は、主に高瀬工場で製造しています。

省エネ推進の「きっかけ」について
環境問題に向き合い、製品あたりのCO2排出量を減らせないかと考え、まずは高瀬工場においてエネルギー消費の大部分を占めている電力使用量について見直すことにしました。電力会社の協力で簡易的に各機械、部署ごとの使用量を「見える化」したところ、各所で無駄な部分が見えてきました。

主な省エネルギー活動内容について①
まず最初に取り組んだのは、老朽化した設備の更新とそれに合わせた運用改善です。
高瀬工場では生産設備の駆動用途として圧縮空気を使用しており、当時、5台のコンプレッサー設備が2系統に分かれて稼働していました。このうち、2台の吸込絞り式コンプレッサーは老朽化による更新時期を迎えていました。また、運転負荷率が分からず、5台全てが稼働している状況でした。
そこで、コンプレッサー設備の圧力・電力測定を行い稼働状況を把握したところ、老朽機器2台をインバータ式1台へ更新し、配管系統の統合及び稼働台数の見直しを行うことで十分運用できることが分かりました。
そして、令和2年度に機器の更新と運用改善を行ったところ、計4台のコンプレッサーで運用することができ、電力使用量を削減することができました。
工場概略図と改善前の配管系統
(コンプレッサー⑤が独立系統)-
工場概略図と改善後の配管系統
(配管を統合しコンプレッサー②③を⑥に更新)
主な省エネルギー活動内容について②
その後も老朽化した設備を更新するタイミングごとに運用改善を行いました。変圧器をトップランナー変圧器へ更新した際には、動力変圧器の一部統合を行うことで電力使用量の低減を図りました。
他にも、休憩室のパッケージエアコンを高効率エアコンへ更新することにより、省エネだけでなく職場環境の改善にもつながりました。
また、月に一度、管理職が工場内のパトロールを行い、コンプレッサーのエアー漏れといった問題箇所があれば担当者に改善を促すようになりました。改善されるまでの間、無駄になっているエネルギー使用量(数字)をその設備近くに張り出すことで職員の意識向上を図っています。さらに、社内に設置している省エネ推進委員会では、現場からの指摘や提案について検討を行っています。委員会のメンバーは各部署から1名以上が参画しており、定期的にメンバーを入れ替えることで多くの社員の省エネ意識改革を進めています。
省エネ効果について
コンプレッサーの更新と運用改善における年間の電力削減量は239,252kWh、原油換算での削減量は59.7kl、金額にして約500万円の経費削減となりました。
また、トップランナー変圧器への更新による年間の電力削減量は37,125kWh、原油換算での削減量は37.1kl、金額にして約80万円の経費削減。エアコンの更新による年間の電力削減量は10,597kWh、原油換算での削減量は2.7kl、金額にして約20万円の経費削減となりました。
これらの取り組みにより、令和5年度省エネルギー月間四国地区表彰 四国経済産業局長表彰(エネルギー管理優良工場等)を受賞しました。
今後の課題と展望について
受賞後も更なる運用改善を続け、現在はコンプレッサー3台で運用しています。省エネには社員一人ひとりの意識づけが大切であり、今後も各製造現場から改善策の提案が出てくるような組織にしていきたいと思います。
省エネルギーに取り組む事業者へアドバイス
従来の設備更新よりも費用がかかりますが、それによる電力削減量や経費削減金額の試算を行ったことで、効率的な設備更新をすることができました。新しい取り組みを提案する際は、それがもたらす効果を数字で示すことが有効だと思います。
- 令和5年度省エネルギー月間四国地区表彰 四国経済産業局長表彰(エネルギー管理優良工場等)受賞